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2006/07/01

『腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿』 西澤保彦

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿 Book 腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

著者:西澤 保彦
販売元:実業之日本社
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どんなに眼と鼻の先に置かれていても、心身ともに健やかな者の視界には絶対に入ってこないもの。

それが市民サーヴィス課出張所。

今日も腕貫探偵は市民の苦悩を解決する。

よくドラマで御目にかかる没個性の公務員。そのお姿にかかすことのできない黒い腕カバーの名称が腕貫であることが判明。ひとつ賢くなったぜ、メモメモ。

この『腕貫探偵(副題省略)』は没個性の象徴・腕貫をはめ、今日も大学・病院・夜の商店街と奇想天外な場所で市民の悩み相談を受け付けるべく、出張所を開くのです。待っている市民なんて居ないのに、ご利用者氏名一覧表に名前を記入させ、一旦待合椅子に座らせてから「お待たせしました、まじょ。さ~ん」なんて呼びかけるわけです。このお役所仕事ぷり、最高。

そして、相談を受付け始めたならば、見事な聞き役に徹し、最後に的確なアドバイスを一言。多くは語らず、でもアドバイスをヒントに謎を違う角度から眺めてみれば、あらびっくりというわけです。まさに安楽椅子探偵お役所仕事版という感じです。

先程から私、お役所仕事お役所仕事云ってますが、私お役所仕事って嫌いじゃないです。別に私はお役所に勤めているわけではないのですが。基本的に現実主義・合理主義と評価されることが格段と多い私。できることとできないことの見極めって非常に大切だと思うんですよね。この見極めを誤るとただの馴れ合いのなぁなぁになってしまって、はっきり云って不快です。どの会社も職務規定やら法律やらに基づいた、独自のルールが存在するわけですが、そのルールを破ってまでお客様のため…というのはナンセンスだと思っています。ルールは会社やそこで働く社員を守るために存在しているのです。そのルールから逸脱して=自らを犠牲にして他人のために何かを強いるなんて、少なくとも私にはできない。その他人が自分にとってかけがえのない家族や恋人であるならいざ知らず、一見の客である貴方のためにそこまでやってられません。そのルールの縛りが一般よりキツイのがお役所であって、彼らの身を守るためにあるものを曲げてまで私のために働いてくださいとは口が避けても云えません…よね?

それでも、腕貫探偵は親切です。親身になって市民の悩みに耳を傾けてくれます。今ちょうど悩んでいることがあるんですよ、ぜひ相談にのってください腕貫探偵。

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受信: 2006/09/13 20:14

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