« 『壷中の天国』 倉知淳 | トップページ | 『同級生』 東野圭吾 »

2006/06/10

『稀覯人の不思議』 二階堂黎人

稀覯人の不思議 Book 稀覯人の不思議

著者:二階堂 黎人
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

手塚作品愛好家が密室の中で殺害された!

現場から盗まれた稀覯本の行方はどこに?

犯人の真の目的とは?

辻村深月氏の『凍りのくじら』は藤子先生への愛がたっぷり詰まった一作でございましたが、この『稀覯人の不思議』は負けじ劣らず手塚先生への愛がどっしり詰まった一冊でございます。こういう敬愛する作家への愛とか、コレクター情報の山ほど詰まった作品を読むのは好きです。

肝心のミステリ部、動機の部分がこの作品は素晴らしいと思います。一般には受け入れられないけれど、わからんでもない動機。ああいった賞賛を受けたい人間のエゴってどうしてもありますから。動機を推理しながら読み進めるのがこの作品には合っていると思います。

ここからはミステリの要、トリックについて触れます。ご注意!

ただ、ミステリにおいて共犯トリックというのはいかがかと思います。共犯者が殺人を犯している間に、自分はのこのことアリバイ作りをしているなんてナンセンスです。しかも、実際には手を染めていないのだから、共犯というより黒幕。やっぱりミステリは正々堂々と単独犯の犯行でなくては。そもそも、共犯関係を結ぼうという思考は理解できない。囚人のジレンマではありませんが、他人とそんなリスキーな関係を結ぼうなんて、私なら絶対に思えない。互いの利害関係が一致して…というのならなんとか理解の範囲内ですが、共犯者を脅迫して殺人を手伝わせるなんて、リスクの二乗ではないですか。しかも、自分のミスで犯行が明らかになるというなら、諦めも付きますが、他人のミスで捕まることになったらもう目も当てられない…。やっぱり犯罪は単独犯に限ります。

って、自分の犯罪論をとくとくと語りましたが、別に殺人かなにかを起こそうって気はさらさらございませんのでご安心ください。

そうそう、第2の密室の作成の仕方(表の玄関の施錠)も良かったと思います。犯人がその頃ぬくぬくとアリバイ作りをしていなければね…。

|

« 『壷中の天国』 倉知淳 | トップページ | 『同級生』 東野圭吾 »

コメント

これは正直あまり好きではなかったですね~。手塚さんや稀覯本の薀蓄は楽しかったのですが、なんとなくミステリ部分とのバランスが悪い気がして。動機は納得しております。

投稿: たいりょう | 2006/06/14 10:01

☆たいりょうさん☆
コメントありがとうございます。
たしかにミステリと薀蓄部分のバランスは悪いですよね。唐突に薀蓄の登場!といった感じで。最近の二階堂氏の作品には光るものが無くて寂しい限りです。

投稿: まじょ。 | 2006/06/15 19:42

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/2155952

この記事へのトラックバック一覧です: 『稀覯人の不思議』 二階堂黎人:

« 『壷中の天国』 倉知淳 | トップページ | 『同級生』 東野圭吾 »