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2006/06/03

『月光ゲーム Yの悲劇’88』 有栖川有栖

月光ゲーム―Yの悲劇’88 Book 月光ゲーム―Yの悲劇’88

著者:有栖川 有栖
販売元:東京創元社
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EMC-英都大学推理小説研究会のメンバーが夏合宿に訪れたキャンプ場で噴火が発生。

孤立した大学生たちと、そこで発生する殺人事件。

クローズドサークルで起こった殺人事件を解決するのは、我等が江神二郎。

個人的に有栖川作品のベスト3に入ると思っていた本作…あれ?こんなちゃちぃなトリックだっけ?読んだのなにせ3年ぶりくらいだから。

この作品は有栖川氏渾身のデビュー作。あとがきにこの作品でデビューするまでの苦節と苦労が描かれておりますが、「力のある人はどうやってでも出てくるものですよ」という編集者の方の台詞は真だと思います。力というのは文章力や発想力だけではなくて、「継続は力なり」に言葉通り、努力できるかどうかにかなりの比重がかかっているのだと思います。有栖川氏はまさにその代表的な作家。一作一作丁寧に描かれる本格ミステリというのが、私の有栖川作品に対していつも持つ感想。有栖川氏は本当に本格ミステリが好きなんだなぁ、といつもいつも感じます。

さて、肝心の『月光ゲーム』の中身ですが、非常に気になった点がひとつあります…

呼称は統一できなかったのでしょうか?

この作品には17名の大学生が登場するのですが、それぞれに名字と名前とあだ名があって、その呼称があっちへこっちへと飛び回るものですから、「この場面に登場しているのは誰と誰やねん!」と憤ってしまいます。もうこれはミスディレクションの域だわ。読者に登場キャラクターを誤認させようとしているに違いない…といぶかしんでしまう程、登場人物の把握が難しいです。(お前がしっかり読んでないからだよ!というごもっともなツッコミはスルーで)

学生アリス作品の特徴といえば、謎解き前に挿入される“読者への挑戦”。エラリークイーンがその筋では有名ですが、ここでちょっと頁をめくる手を止めてじっくりと犯人を推理してくださいという、作者と読者の知的ゲーム。私自身は“読者への挑戦”で手を止めたって経験はないのですが(考えていないというわけではありません!読みながらちゃんと考えておりますよ…)この“読者への挑戦”を見るとゾクゾクゾクッとしますね。キターーーー!!!!!って感じ?(笑)

解決は…ちょっと弱いかも。犯人は抜け目なく、事件の中に著名すら遺さなかったなんて信長さんがおっしゃってましたが、そうか?って感じ。ボロボロ証拠品残っているじゃないですか。あとダイイングメッセージもね。○の書きかけといえば書きかけに見えなくもないけれど…って感じね。まぁ。ダイイングメッセージものといえば、どれもこれもそんな感じですけれど。

この学生アリスシリーズは全部で5部作。まだ3作目ね…

たのんます!有栖川先生!!

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コメント

TBありがとうございます。呼称は確かに気になりますね~(笑)。おそらくダイイング・メッセージに対する仕掛けなんでしょうけど、ダイイングメッセージ自体がイマイチ決まらなかったせいか、その辺も弱点になっちゃったんでしょうね、と想像しております。

投稿: たいりょう | 2006/06/03 12:47

☆たいりょうさん☆
コメントありがとうございます。
ダイイングメッセージもので、「あぁ、納得♪」の読了感を与えるものって本当に無いですよね。「そのメッセージを使いたくて一冊本書いたでしょ?」みたいな。
嫌いじゃないジャンルだけに残念です。

投稿: まじょ。 | 2006/06/03 19:57

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