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2006/05/21

『翼ある闇』 麻耶雄嵩

翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件 Book 翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件

著者:麻耶 雄嵩
販売元:講談社
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今鏡一族が住む蒼鴉城で巻き起こる連続殺人事件。

ふたりの名探偵がこの謎に挑む。

麻耶雄嵩、衝撃のデビュー作。

『翼ある闇』は何度読んでも良いですね。かなりの厚さがありますが、読み易い文章と読者を引き摺り込む内容のおかげで、厚さを全く感じさせません。ただ、ミステリ入門書としてはオススメできませんが…。エラリー・クイーンあたりをちょっと齧りました!くらいのミステリファンにオススメ。

さて、早速ですがここからネタバレします。かなり濃いネタバレになりますので、麻耶雄嵩氏の他の作品をこれから読もうと思っている方も注意が必要です。

この『翼ある闇』の何が最も衝撃だったのか…。トリックや見立て、ミッシング・リンクはもちろんですが、なによりもヘイスティングスが名探偵だった!というところに、この作品の凄さがあります。

『翼ある闇』は麻耶氏のデビュー作ですので、ヘイスティングス=実朝が今鏡家の内実に詳しかったから謎が解けたのか、真の名探偵だったからなのかは読み解くことができません。私がこの『翼ある闇』を読んだのは高校生の時でしたが、そのときもミステリマニアの友人と議論を交わしたものです。しかし、この謎は同じく麻耶氏の『名探偵 木更津悠也』で氷解する仕組みとなっております。未読の方は早急にお読みくださいませ。

さらに、この『翼ある闇』には副題がございまして、そのタイトルはずばり『メルカトル鮎最後の事件』とあるのです。デビュー作にして名探偵を殺してしまいますか!という驚き。このメルカトル鮎はシルクハットを被った奇人変人ナルシストさんなのですが(申し訳ない。個人的にメルカトルは苦手です)、メルカトルがいなくてはこの『翼ある闇』の見立てが成立しないとはいえ、最後の事件と副題といて銘打ってしまうところが凄い。

あとは見立てですね。エラリー・クイーンの国名シリーズ通りに殺人を犯してゆくなんて、なんとナンセンス!エラリーを読んだことの無い人にとっては?だし、読んだことのある人にとってはある意味バカミスに成り下がってしまうという、二重の危険性を孕んでおります。だからこそ実朝の謎解きが映えるわけですが…。

というわけで、かなりの問題作である『翼ある闇』。ミステリに対して許容範囲の広い方は是非お読みくださいませ。

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» 麻耶雄嵩「名探偵木更津悠也」読了。 [島根ではたらく社員のBlog(ブログ) DVD、本、デジモノの感想を書くよ]
なにげに全作読んでる麻耶雄嵩。 いちおうネタバレは追記部分に続けます。 [続きを読む]

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