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2006/05/29

『三月は深き紅の淵を』 恩田陸

三月は深き紅の淵を Book 三月は深き紅の淵を

著者:恩田 陸
販売元:講談社
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「その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません」

そんなルールと幻想的な内容だけが伝説化され、存在の有無も確認できない『三月は深き紅の淵を』

一冊の本にまつわる4つの物語。

帯に惹かれて読み始めました『三月は深き紅の淵を』。

本書の中で奇しくも恩田陸氏ご本人が語られていることですが「小説が六割、タイトルが四割で小説全体を決定するとも言われている」この言葉は真だと思います。ちょっと付け加えるならば「小説が五割、タイトルが四割、帯が一割で小説全体を決定するとも言われている」。小説なんて手に取ってもらえるかどうかに成功の半分以上がかかっているといっても過言じゃない。読んでもらえなければ小説として存在しているのかどうかも定かではないのだから。

この『三月は深き紅の淵を』はその五割を有効に利用した一冊だと思います。なんとなく気になってしまうタイトルに、ぐっと引き寄せる帯。

内容については第一章「待っている人々」第二章「出雲夜想曲」のふたつが私のお気に入りです。ベストは第二章。女編集者がああでもないこうでもない云いながら、『三月は深き紅の淵を』の謎の作者を追いかけるという、れっきとしたミステリ。伏線の張り方もうまくて、恩田氏のこのテイストの作品をもっと読みたいと思わせる一作。第一章についてはある意味バカミスのユーモアを凝らした一作。こんな催しなら私も参加してみたい。現在の会社に提出したエントリーシートには「趣味:読書」としっかり記入したから、いつかお呼びがかかるかもしれないわね。

その『三月は深き紅の淵を』についてはうまく感想を述べられないのですが、幻想的な雰囲気作りがうまく作用していたと思います。ここまでタイプの違う4つの短編を描ききることのできる恩田陸氏って何者?といった感じ。でも、むさぼるように読むほど良かったかと聞かれると…。

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コメント

はじめまして。
本ブログから辿ってきてTBさせていただきました。
本作は勝手に「三月シリーズ」と名付けているほど私の好きな作品です。
確かにむさぼるように読むのとは違う。でも首までどっぷり浸かっちゃう感じです。
ぜひシリーズ続編の『麦の海に沈む果実』『黒と茶の幻想』『黄昏の百合の骨』にも手を伸ばしてみて下さい。

投稿: こばけん | 2006/05/29 00:41

☆こばけんさん☆
コメント&TBありがとうございます。
この『三月は深き紅の淵を』がまさかシリーズ化しているとは思いもよりませんでした。『黒と茶の幻想』の存在だけは知っていたのですが。
「三月シリーズ」(無断で拝借)続編についてもチャレンジしてみる所存でございます!レクチャーしていただいてありがとうございました!!

投稿: まじょ。 | 2006/05/29 23:23

TB返しとコメント、ありがとうございます(^^)
最近、『黒と茶~』が単行本化されたので大きめの書店に行くと平積みされていたりしますが、ちょっと待ったぁーっ!
できれば、というよりここはぐっとこらえて、『麦の海~』からいって下さい。
というのも、『麦海』の登場人物の一人が『黒茶』でクローズアップされている、という内容なので。
ということを私もblogを通じて他の人から教えてもらったのです。

投稿: こばけん | 2006/05/30 02:25

☆こばけんさん☆
これはもう順番に読むしかないな、と(笑)
読むたびに深くなる作品って良いですよね。知らなくても楽しめるけど、知っているとより楽しめるという作品(この場合はクローズアップされている登場人物ですね!)が私はとても好きなので、もう間違いなく順番に読むことに致します!
こういった素敵な読み方を教えてもらえるとかなり得した気分になりますね。どうもありがとうございます♪

投稿: まじょ。 | 2006/05/30 21:56

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