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2006/05/09

『少女には向かない職業』 桜庭一樹

少女には向かない職業 Book 少女には向かない職業

著者:桜庭 一樹
販売元:東京創元社
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「中学2年生の1年間で、人をふたり殺した。」

そんな強烈な帯に包まれた、少女たちの闘いの記録。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を読んだあと、ちょっと塞ぎ込みモードに陥ってしまったため、なんとなく避けていた桜庭一樹氏の『少女には向かない職業』をようやく読むことができました。映画化の話をどこかで読んだので(調べたら映画化じゃなくてドラマ化だった模様。しかもGyaOって…)、その前に読んでおかないと…という強迫観念が半分、いよいよ読む本が無くなってきたという現実が半分。

結果…良かったです。想像していたよりも良かった。ただし、塞ぎこみモードに突入しそうな気配ではあります。

読んでいてふと感じたのですが、私はこういった虐待とかいじめとか現実的な痛みに非常に弱い。ミステリにおける殺人事件は非日常非現実的。名探偵の登場なんて、その最たるものであって、たとえ本格ミステリの中で連続殺人事件が起ころうと私は痛くも痒くもないのですね。ただ、桜庭氏の作品はプチ現実的な痛みを読者に抱かせてくる…それが辛いのです。

健全な人間なら一度は考えるであろう「殺してやりたい」という感覚。これを実行に移すか移さないかで、本当に健全であるかそうでないかを量るバロメータになろうかと思いますが、この『少女には向かない職業』に登場するふたりはそのラインをふとしたきっかけで踏み外してしまう。

この踏み外した方が非常に痛々しくて、まさに転がり落ちてしまった感じ。終わり方があれで良かったのかどうか、未だに私自身の中で判別できていないのです。読者としての私の希望が「あのまま逃げて欲しかった」であるのに対し、人間としての私が「あぁ、良かったねぇ」と告げる。この浮遊感に戸惑っております。

なかなか考えさせる作品で、久しぶりに良いものを読んだ気がします。この落ち込みモード突入さえなければね…。

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