『死神の精度』 伊坂幸太郎
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死神の精度 著者:伊坂 幸太郎 |
名前は千葉。職業は死神。
ミュージックを偏愛する死神は今日も死にGOサインを出す。
死神の6つの仕事。
この作品は伊坂幸太郎のベストかもしれない。
伊坂氏の作品は『砂漠』と『魔王』を除けばすべて読んでいるのですが、この『死神の精度』が私の中のベストです。
いつものように「なにがどう良かった?」と聞かれると「えっと…」と断言できない一作なのですが、作品全体を流れる精度が良かった。死神の千葉の存在も、千葉によって死が約束された人間たちも。
お気に入りの一作は「恋愛で死神」。萩原の語る恋愛観と、人間の本質が良かった。まぁ、店長の語る「外見も本質」発言も正しいと思うのですが。見目麗しい人間には、麗しいなりの苦労なぞがあるのでしょう。全く想像できませんし、一生感じることもないと思いますが、そういう悩みがあることを記憶の奥底に沈めておきます。何かの機会に浮上してくるかもしれません。
千葉の物言いで非常に気に入ったのがレトリックの問題。「藤田さんは一味違うんだよ」の発言に「おまえは藤田を食ったことがあるのか」と心の中で返す死神に感服。普段「一味違う」なんて修辞句を使い慣れている人間にとっては、こんな発言想像できない。恐ろしや千葉。そして伊坂幸太郎。
とにかく、私にとってこの『死神の精度』は伊坂作品のベスト。また死神の仕事を拝見する機会に巡り会いたいものです。それが自分の身だったとしても。
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コメント
文庫落ちしていたので、読みました。
『死神の精度』がベストですか~。僕は伊坂幸太郎は長編の方が好みのようです。
文章はとっても心地よかったです。やっぱり巧いですよね。
投稿: Cozy | 2008/03/05 19:15
☆Cozyさん☆
地味に伊坂ベストは更新されておりまして(笑)現時点でのベストは『魔王』だったりします…自分でも随分捻くれたチョイスだと思います。『魔王』がベストだという方のブログに遭遇したことないですもの。でも『ゴールデンスランバー』がかなり良いみたいなので、あっさり更新されるかもしれません(うわぁ、適当だな…)
投稿: まじょ→Cozyさん | 2008/03/15 19:11