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2006/05/28

『マジックミラー』 有栖川有栖

マジックミラー Book マジックミラー

著者:有栖川 有栖
販売元:講談社
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双子の兄弟が持つ鉄壁のアリバイトリックに挑むのは、アリバイトリックメーカーの推理作家。

しかし、双子のどちらかが首なし手首なし死体で発見されて?

有栖川有栖によるアリバイ講義も収録!

最初にこの作品を読んだときに感じたのは「こんなにこねくり回さなくたって…」です。

私の両親も推理小説を嗜むのですが、西村京太郎氏オンリーなものですから時刻表トリックには多少寛容な心持ちで挑むことができました。でも、そんなに乗り換えだのなんだのしているうちに、犯人はどうでも良くなってくるのではないか?といつも思います。犯人は自分の構築したアリバイトリックに間違いなく酔っちゃってますね。東野圭吾氏の『名探偵の掟』にこの“アリバイトリックに酔っちゃった男”の話が出てきますが、私はあの話がとても好きです。

ここから『マジックミラー』の構想及びトリックについて触れます。ネタバレも良いところです。WARNING!

まずこの『マジックミラー』の面白いところは双子の兄弟の鉄壁のアリバイを崩すところに主題が置かれているかと思いきや、途中から双子の兄弟殺しの犯人が持つアリバイを崩すことに主題がスライドしていることです。謎が途中からすり替わっているのですね。当然犯人もすり替わってきますので、一冊で二回美味しい作品に出来上がっております。しかも、双子の兄弟殺しの犯人に以外性を持たせてます(?)ので、もしかしたら3回美味しい作品かもしれない。

有栖川氏の作品の中で、この『マジックミラー』はベスト3に入ってくると個人的に思っております。作家アリス編(火村編)はお手軽感が満載なので、ベスト3に食い込んでこれないのが残念。ベスト3のあとの2作は『月光ゲーム』と『双頭の悪魔』かな。『幽霊刑事』も捨て難いけれど。でも、作家アリス編待望の長編『乱鴉の島』が発表されますので、このベスト3が変動するような作品であることを願っております。

願うといえば学生アリス編の新作も頼みます。5部作だと知ったのはもうかれこれ10年以上前。まだ3作目…頼みますよ、有栖川先生!!

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コメント

個人的には火村物は総じて苦手で^^;
自分のブログでも書きましたが、この作品も正直なところ評価は低いのです。
僕としては、学生アリスの方に期待・・・最後に学生アリスの短編を読んでから一体どれほどの月日が(笑)

投稿: たいりょう | 2006/05/29 01:54

☆たいりょうさん☆
コメントありがとうございます!
火村ものはなんかもう作品とは別の次元で盛り上がっちゃっている感じしますよね…。
私も学生アリスものの短編を最後に読んだのが…「蕩尽に関する一考察」(2003年)ですので、もう3年ですよ!!もう笑うしかないって感じですね(笑)

投稿: まじょ。 | 2006/05/29 23:28

メフィスト賞とか色々なの読んだあとに久々ミステリー満喫致しましたって感じです 私もとても好きですこの本 犯人の哀しさとかとても私の好きな有栖川有栖な部分が感じられます

投稿: きりり | 2006/12/12 16:25

☆きりりさん☆
『マジックミラー』に納められているトリック使って、もう何冊かミステリ書けるんじゃない?と思わせるほど、ミステリ要素の詰まった一冊ですよね。ひとつトリックを伏せておいて、そのネタで学生アリス新刊を書いてくれればいいのに…結局それなんですよ…。
有栖川の描く犯人は、ただ悪いだけじゃなく、哀愁を感じさせる奴等が多いですよね。私も好きです。

投稿: まじょ→きりりさん | 2006/12/12 23:02

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» 『マジックミラー』有栖川有栖(ネタバレ注意) [夜の散歩道]
久しぶりに図書館に行って、この本を手に取ったのが年末の事。いつもは有栖川さんの作品は、火村教授が出てくるものを好んで読んでいるのですが、たまには主人公が違うものを読んでみようと借りたのがこの本 です。年末年始の長い休みを利用して、読んでしまうつもりが何...... [続きを読む]

受信: 2007/01/25 00:06

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