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2006/05/20

『交通警察の夜』 東野圭吾

Book 交通警察の夜

著者:東野 圭吾
販売元:実業之日本社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

誰もが加害者被害者になりうる交通事故。

交通事故を題材に東野圭吾が描く珠玉の短編集。

先日の『探偵倶楽部』レビューで『交通警察の夜』に収録されている「天使の耳」を大絶賛したあと、妙に読みたくなって、読む予定だった本を押しのけて手に取りました。やっぱり良い。

私が所有している『交通警察の夜』は初版版でもなく、文庫化の際に改題された『天使の耳』版でもなく、東野圭吾氏10年ぶりのあとがきが収録されている『交通警察の夜』第二版です。このあとがきで東野圭吾氏が以下のように述べていらっしゃるのが印象的。

こうして振り返ってみると、当時は丁寧な仕事をしていたなあと思う。小説技術は、たぶん今のほうが上だろう。しかし一作にかける気持ちの熱さは、あの頃にはかなわない。

どんな作品を書いても思ったように評価されなくて、くさくさしていた頃の東野圭吾氏。今の東野氏からは想像もできない御姿ですが、多くの巨匠は死んでから名を残したものです(by名探偵コナン)。東野圭吾氏は既に超一流。継続は力なりって本当ですね。

この『交通警察の夜』の最大の功績は「天使の耳」が収録されていることだと私は勝手に分析こいているのですが、皆様いかがでしょうか?読了後あんなにぞくっ!とさせられる作品は無いと思います。

読書の魅力のひとつに“騙され感”というのがあります。作中で描かれる物理トリック・心理トリックの他に、作者の仕掛けた叙述トリックに読者が騙されるというもの。私はこの叙述トリックをこよなく愛していて、かの有名なアガサ・クリスティ氏の作品を偏愛しているのですが、「天使の耳」は叙述トリックではないのに、叙述トリックを読まされたときのような騙され感を味わうことができます。まさに匠の技。

他の収録作品も小説として絶妙。東野氏があとがきで明かす狙いと合わせて読めば、楽しさも2倍です。是非、お手にとってみてくださいませ。

天使の耳 Book 天使の耳

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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