『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎
![]() |
![]() |
陽気なギャングの日常と襲撃―長編サスペンス 著者:伊坂 幸太郎 |
人間嘘発見器、演説の達人、体内時計、スリの天才。
4人の陽気なギャングが再集結。
『陽気なギャングが地球を回す』待望の続編。
蛇足という言葉を皆様ご存知でしょうか?
蛇に余計な足を描いたために嘘がばれてしまうという中国の故事。中学校の教科書にも記載されている有名な逸話です。私が『陽気なギャングの日常と襲撃』読了後、真っ先に思いついたのがこの故事。続編、必要だったのかな?
5月13日に『陽気なギャングが地球を回す』が全国公開され、好評を博している模様ですが、映画化に乗っかったマルチ商法を見せられた気が致します。って、すっかり乗っかって購入しちゃってる哀れな自分がここにいるのですが…。
本作はギャングの本業である銀行強盗がメインではなく、前作のように止むに止まれぬ事情があって巻き込まれたわけでもなく、自分たちからトラブルに飛び込んでゆくギャング。この自発的な行動が私の描いていたギャング像と隔たりがあるのですね。「対岸の火事」という言葉がありますが、ギャングたちにはこの「対岸の火事」を地でいって欲しかった。
テンポも前作と比べると控えめで、スピード感が無い気がします。失速?4人の巧妙な駆け合いが見られないのが非常に残念。
もちろん伊坂氏お得意の伏線張りまくり状態には圧巻でございますが、想定の範囲内なのですよ。最後に「おおっと!そう来たか!!」という感嘆符が出てこない。これまた残念。
きっと続編に対する期待が知らず知らずのうちに高まり過ぎていて、辛めの読書となったことが一番の原因だと考えます。前評判とか直前に読んだ作品(『死神の精度』)があまりにも自分好みだったからなのでしょう。どんな作家であってもクリティカルな作品を量産できるわけないので、伊坂氏の次回作に期待。きっとこの4人のギャングにまた出逢う機会もあることでしょう。
映画も早いうちに観に行かないと。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント