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2006/05/10

『手紙』 東野圭吾

手紙 Book 手紙

著者:東野 圭吾
販売元:毎日新聞社
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毎月送られてくる獄中の兄からの手紙。

犯罪者の弟だという理由から、幾度となく人生の路線変更を迫られる。

果たして僕はこの現実とどう向き合えば良いのだろうか。

私の好きな作家の三指に入る東野圭吾氏の作品です。ブロ愚の記事ももう100になろうかというのに、未だに一冊も東野圭吾氏のレビューを書いていなかったことに驚愕。

この『手紙』はあらすじを読んだだけで憂鬱な気分になり、積読状態だった一冊。山田孝之くんで映画化とのニュースを読んで、ようやく読む気力が生まれました。昨日読んだ『少女には向かない職業』から続くひきこもりモードも要因のひとつかも。

「このミス2006」の大賞受賞インタビューで東野氏自身が「なにを読んだら良いか迷ったときに安心して手にとってもらえる“東野ブランド”のようなものを確立したい」というような趣旨のお話をしておりましたが、既に私にとって東野圭吾氏はその域に達しております。何かおもしろい作品を読みたいと思ったら東野圭吾。これは現在未来だけの話ではなくて、過去の作品であっても。東野氏の過去の作品を読んで時代を感じさせることはあっても、面白くなかったと感じさせる作品はありません。

東野氏の作品はジャンルも多種多様。『どちらかが彼女を殺した』のようなバリバリの本格系。『怪笑小説』のようなユーモア系。『あの頃ぼくらはアホでした』のようなエッセイ系。『秘密』や『トキオ』のような泣かせる系。『白夜行』のような社会派系。最後の社会派系だけは好みの問題で、私個人としては魅力を感じないのですがね…。とにかくどれを読ませたって一級品。こんなに多様なジャンルを書き分ける作家が東野圭吾の他にいるでしょうか?いや、いないさ。

今回のレビュー作品『手紙』は泣かせる系かと思いきや社会派系と、個人的にちょっと残念な読了なのですが、頁を捲る手をまったく止めさせなかったことがすごい。大きな山場が無い作品は大抵途中で間延びして、あくびのひとつもしてしまうところですが、この『手紙』は敢えて山場を作らず、山場ができそうになったら兄からの手紙で再び更地に直すという大技をやってのけたことで、逆にあくびをさせない構造になっておりました。(自分でも何が言いたいのか良くわからなくなってきました。とにかくすごい作品だったのだよ!)

『秘密』や『トキオ』を読んだときのように号泣したい気分だったのですが、それでも読んで損の無い一作でした。

山田孝之くんも『白夜行』よりは『手紙』の方がイメージに合っていると思います。映画化いまから楽しみです。きっと良い作品になると思います。

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コメント

確かに安心できる作家さんではありますね。
私は3作くらいしか読んだことがないけれど、わりと好印象を持っている次第です。

時に、塩野七生さんが僕のおすすめでございます。

投稿: 35式 | 2006/05/10 21:54

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» 手紙 [本を読もう]
東野 圭吾さんの小説を読むのは、これが初めてでしたが、すんなりと読むことが出来て良かったです。久しぶりに感動、というか、小説を読んで自然と涙してしまいました。 いろいろな面で直貴に向けられる差別や偏見は、読んでいてとてもつらく、犯罪者の身内というだけで世間からどのような目を向けられるのかなど、ひしひしと感じました。 最終的に直貴が下した判断については、そういうこともあるのかな、と納得し... [続きを読む]

受信: 2007/03/19 22:23

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