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2006/05/30

『図書室の海』 恩田陸

図書室の海 Book 図書室の海

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
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Mystery、Horror、Science Fiction…

恩田陸のジャンルを越えた10の罠がここに。

『六番目の小夜子』番外編を含むとっておきの短編集。

恩田氏の作品を読むなら短編集の方が好みであることをようやく自覚致しました。

恩田氏の作品って、どれもニュアンスで描かれているじゃないですか?(あぁ、この「じゃないですか?」口調を死ぬほど嫌悪しているのに。使ってしまう罠)明確に「こうです!こうなんです!」と主張する結末を持たない=読者に結末を委ねる姿勢。この姿勢が本格ミステリをこよなく愛す私にはノックアウト気味だったのですが、短編だとすんなり受入れられる自分がここに居ました。

短編って基よりニュアンス重視というか、文字制限を受け入れざるを得ない戦場で戦っているため、読者の想像力に期待する部分が多い。それを念頭に置いて読むため、曖昧なまま物語が終結しても、憤りとか不安とか感じないのですよね。あぁ、こういう雰囲気の作品も良いね、で納得できる。

長編だと「ここまで読ませといてそれかい!」という憤慨を覚えやすい。本格ミステリ中心で生きて来た私の読書人生がそう思わせることは判っていても、憤ってしまう未成熟な私。駄目な子ね…。

というわけで、まだ数冊しか読んでいない恩田氏の作品の中でも『図書室の海』はお気に入りの一冊。ミステリよりもホラー作品の方が好みの作品が多かった。一番好きなのは「茶色の小壜」でしょうか。『夜のピクニック』を読まなきゃ!という気持ちにさせるという意味では「ピクニックの準備」も好きです。

あとは表題作「図書室の海」を読んでいて感じたのが、「あぁ、私は関根秋くんがかなりお気に入りだったんだなぁ」ということ。関根姉が主人公だというだけでどきどきしながら読み進めました。いつか秋くんが登場するんじゃないかって。駄目な子…。

恩田陸氏初心者にはとっかかりとして適した一冊ではないかと思います。これからどんな恩田作品を読めば良いかわかる一冊。

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2006/05/29

『沈黙者』 折原一

沈黙者 Book 沈黙者

著者:折原 一
販売元:文藝春秋
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警察でも裁判所でも、刑務所でも決して自分の身分を明かさない“沈黙者”

2家族6名を惨殺した凶悪殺人事件の真犯人は果たして彼なのだろうか?

折原一氏といえば叙述トリックの名手であり、日本ミステリにおいて折原氏を越える叙述トリックメーカーは居ないと個人的に思っております。ラストに辿り着くのがこれほど楽しみな作家は居ないといっても過言ではないでしょう。そんな叙述トリックへの期待を胸に読み始めました『沈黙者』。

騙されました。

この「騙されました」の用法としては、まんまと叙述トリックにひっかかったという意味ではなく、折原氏の作品にも関わらず叙述トリックを用いた作品では無いという点で騙されたという意味で用いております。

いや、正確に記するならばこの作品は叙述ミステリなのですが、折原氏の実力はこんなものではない!と。この「○○者シリーズ」自体が持ち前の叙述トリックを前面に打ち出した作品ではなく、“読ませるミステリ”として描かれておりますので仕方が無いといえば仕方が無いのですが…。折原氏の作品を読んで着地点がどこかわかってしまうなんて、これほど悲しいことがあろうか、いやない…ってなもんですよ。

この手の“読ませるミステリ”があまり好きではないものですから、どうしても評価は辛め。ここに折原氏独自の味を出していただけたら良かったのですが、味付けも薄味となっておりますのでどうしても不満足。残念。

私みたいなひねくれ者は大人しく「倒錯シリーズ」を読んでうはうは云っているの限りますね。ということで、折原氏入魂の叙述トリックものにどっぷり嵌りたいと心から願うひねくれ者なのでした。

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『三月は深き紅の淵を』 恩田陸

三月は深き紅の淵を Book 三月は深き紅の淵を

著者:恩田 陸
販売元:講談社
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「その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません」

そんなルールと幻想的な内容だけが伝説化され、存在の有無も確認できない『三月は深き紅の淵を』

一冊の本にまつわる4つの物語。

帯に惹かれて読み始めました『三月は深き紅の淵を』。

本書の中で奇しくも恩田陸氏ご本人が語られていることですが「小説が六割、タイトルが四割で小説全体を決定するとも言われている」この言葉は真だと思います。ちょっと付け加えるならば「小説が五割、タイトルが四割、帯が一割で小説全体を決定するとも言われている」。小説なんて手に取ってもらえるかどうかに成功の半分以上がかかっているといっても過言じゃない。読んでもらえなければ小説として存在しているのかどうかも定かではないのだから。

この『三月は深き紅の淵を』はその五割を有効に利用した一冊だと思います。なんとなく気になってしまうタイトルに、ぐっと引き寄せる帯。

内容については第一章「待っている人々」第二章「出雲夜想曲」のふたつが私のお気に入りです。ベストは第二章。女編集者がああでもないこうでもない云いながら、『三月は深き紅の淵を』の謎の作者を追いかけるという、れっきとしたミステリ。伏線の張り方もうまくて、恩田氏のこのテイストの作品をもっと読みたいと思わせる一作。第一章についてはある意味バカミスのユーモアを凝らした一作。こんな催しなら私も参加してみたい。現在の会社に提出したエントリーシートには「趣味:読書」としっかり記入したから、いつかお呼びがかかるかもしれないわね。

その『三月は深き紅の淵を』についてはうまく感想を述べられないのですが、幻想的な雰囲気作りがうまく作用していたと思います。ここまでタイプの違う4つの短編を描ききることのできる恩田陸氏って何者?といった感じ。でも、むさぼるように読むほど良かったかと聞かれると…。

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2006/05/28

『マジックミラー』 有栖川有栖

マジックミラー Book マジックミラー

著者:有栖川 有栖
販売元:講談社
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双子の兄弟が持つ鉄壁のアリバイトリックに挑むのは、アリバイトリックメーカーの推理作家。

しかし、双子のどちらかが首なし手首なし死体で発見されて?

有栖川有栖によるアリバイ講義も収録!

最初にこの作品を読んだときに感じたのは「こんなにこねくり回さなくたって…」です。

私の両親も推理小説を嗜むのですが、西村京太郎氏オンリーなものですから時刻表トリックには多少寛容な心持ちで挑むことができました。でも、そんなに乗り換えだのなんだのしているうちに、犯人はどうでも良くなってくるのではないか?といつも思います。犯人は自分の構築したアリバイトリックに間違いなく酔っちゃってますね。東野圭吾氏の『名探偵の掟』にこの“アリバイトリックに酔っちゃった男”の話が出てきますが、私はあの話がとても好きです。

ここから『マジックミラー』の構想及びトリックについて触れます。ネタバレも良いところです。WARNING!

まずこの『マジックミラー』の面白いところは双子の兄弟の鉄壁のアリバイを崩すところに主題が置かれているかと思いきや、途中から双子の兄弟殺しの犯人が持つアリバイを崩すことに主題がスライドしていることです。謎が途中からすり替わっているのですね。当然犯人もすり替わってきますので、一冊で二回美味しい作品に出来上がっております。しかも、双子の兄弟殺しの犯人に以外性を持たせてます(?)ので、もしかしたら3回美味しい作品かもしれない。

有栖川氏の作品の中で、この『マジックミラー』はベスト3に入ってくると個人的に思っております。作家アリス編(火村編)はお手軽感が満載なので、ベスト3に食い込んでこれないのが残念。ベスト3のあとの2作は『月光ゲーム』と『双頭の悪魔』かな。『幽霊刑事』も捨て難いけれど。でも、作家アリス編待望の長編『乱鴉の島』が発表されますので、このベスト3が変動するような作品であることを願っております。

願うといえば学生アリス編の新作も頼みます。5部作だと知ったのはもうかれこれ10年以上前。まだ3作目…頼みますよ、有栖川先生!!

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『幻獣遁走曲』 倉知淳

幻獣遁走曲 Book 幻獣遁走曲

著者:倉知 淳
販売元:東京創元社
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今日も我らが猫丸先輩はアルバイトに勤しむ。

そこで遭遇する不可解な事件を、あっという間に解決できるのはそう猫丸先輩しかいないのだ!

たたかえ たたかえ 猫丸先輩。

名探偵といえば、奇人変人ナルシスト人に厳しく自分に甘く…とにかく人間としてどうよ?というキャラクタが多い中、その最たる存在として君臨するのが我らが猫丸先輩です。

どう見ても30過ぎのおっさんには見えない童顔に、くりくりおめめ。名は体を表すの如く、猫のように愛らしいその容姿に騙されてはいけません!30歳過ぎても定職を持たず、フリーアルバイターとしておもしろアルバイトにのみ精を出し、「どうやって生活しているのさ?」という質問には「後輩にたかって…」と回答するのが満点に違いないという名探偵が猫丸先輩です。

猫丸先輩が解決するのは“日常の謎”。シリーズ当初は殺人事件も扱っていたように記憶しておりますが(『過ぎ行く風はみどり色』ってそうでしたよね?叙述トリックばかりが鮮明で、肝心の物語はすっかり忘れてしまいました)最近では専ら後輩持込みの謎ばかりを(飯代を対価として)解決しております。この『幻獣遁走曲』では「猫丸先輩のアルバイト探偵ノート」の副題通り、アルバイト先で遭遇したちょっとした謎を猫丸先輩が解決してみせるという手法です。

さて、5つのアルバイトを今作でやってのけた猫丸先輩。私の好みは「寝ていてください」でしょうか。(はい。ここから「寝ていてください」のネタバレを致します。ご注意)この作品で猫丸先輩が勤しむアルバイトは「抜き」です。製薬会社が新しく開発した薬のテストのために、ボランティアを雇って薬を飲ませ血液を採取するというもの。バイト自体は薬を飲む→採血→寝る→薬を飲むのリピートなので、難しい仕事では無いのですが、自分が飲んでいる薬がどんな薬なのか全く知らされないというところに、このアルバイトの危険性があります。自然と薬の副作用で死に至り、それが闇のうちに抹殺された…なんて噂も出てくるわけで。この「寝ていてください」の中でも採血に行ったまま帰ってこなかったボランティアの謎が提示されるわけです。すったもんだの会話のあとに猫丸先輩が示した解答は善意の解答。彼は死んだわけでも闇に葬られたわけでもなく、バイト期間が終了したから帰っただけであるというのが猫丸先輩の解答なのですが、それって本当?と思ってしまいました。猫丸先輩のロジックに曇りは無いのですが、根拠も薄いのですね。猫丸先輩は周りの人間を安心させるためにこういった“善意の解答”を提示することがあります。私は猫丸先輩の口は悪いけど中身は優しいとことが好きだったりするのですが…。

だらだらと書いたわりに、よくわからない文章になってますね。反省。

とにかく、奇人変人名探偵の中でも一捻り効いた探偵ものが読みたいという方は是非猫丸先輩シリーズをお読みくださいませ。

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2006/05/27

『のだめカンタービレ』

のだめカンタービレSelection CD Book Book のだめカンタービレSelection CD Book

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
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本日はのだめCDを聴きながら、のだめ全巻一気読みを敢行しました、まじょ。です。

のだめ最高!

昔は漫画っ子だった私が現在も購入している漫画って案外少なくて、『のだめ』『NANA』『ガラスの仮面』だけだったりするのですが(『きみはペット』は無事最終巻を迎えてしまったし)『のだめ』はこれまで読んだどんな漫画にも属さない、新しい風が吹いています。

だってヒロインがヒーローに飛び蹴りかますか?そしてヒロインは白目を剥かない。

というわけで、R☆Sオーケストラ編と指揮者コンクール編のあたりがすごく好きな私(←つまり千秋が好きなんですNE!あと、クロキンも好きです…ぽっ)

でも、セレクションCDに収録されている作品の中では「ラプソディ・イン・ブルー」が一番好きです。どうも和装ビックバンドのSオケを思い出して笑いが込み上げてきますが。曲の入りにピアニカなんて、なかなか良い音出してそう。しかも、マングース。あのマングースのくだりも、のだめの中でずば抜けて好きです。「2,000円もらえるんデス」

といっても、マングース人形着きの15巻は予約しなかったのですが。15巻はのだめリサイタル編が収録されているのでしょうね。現在進行形の千秋VSマルレ編が早く読みたいものです。あのコンマスさんが好きです(くくくっ)

なにが書きたかったのかよくわからないレビューになっておりますが、つまりコレです。

来月からフルートを習いに行くことに決めました。

フルートなんて小学生の時以来だわ…。オケストラを聴きに行っても何故か白目を剥いて寝てしまう私が、果たして長続きするのか見物ですな☆

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映画「ローレライ」

ローレライ DVD ローレライ

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2006/07/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ほぼ同時期に公開された福井作品『亡国のイージス』と『ローレライ』。私は『亡国のイージス』を劇場で鑑賞したのですが、今日『ローレライ』をDVDで鑑賞し、「こっちを観ておくんだった!」と後悔。結構良かったです。

実は『ローレライ』の原作は未だに読んでおりません。ハードカバーで持っているのですが、もう何年も積読状態。間に引越しも挟んでいるので、あんな重たい本をわざわざ持ってきて、積読なんで勿体無いなぁと自分でも思います。

だって、『ローレライ』はDAISモノじゃないんだもの…。DAISというか如月行が好きなんだろ?という的確なツッコミはスルーで。というわけで、私的には珍しく、原作よりも映画が先という一作になりました。

原作を読んで鑑賞したなら間違いなく違う感想になるのだと思いますが、映画良かったですよ。福井作品にはお馴染みのカッコイイおじさまがいっぱい居たし。役どころ云々を除くなら、堤真一さんの軍服姿が一番萌えました。二番手はもちろんピエール様で!音楽繋がり(ん?)のKREVAは一体どこに出ていたのか良くわかりませんでした…。

あとは香椎由宇ちゃんが可愛かったですね。まさに紅一点(だって、あと女性で登場したのって、サワコ様だけでしょ?)。でも、パウラが登場する度にあの“あずみマント”が気になって仕方がありませんでした。それもまた可愛かったですが…。

肝心のストーリーは『亡国のイージス』映画版に比べれば、よく2時間の枠に納めたな、と感心致します。『亡国のイージス』なんて、原作を読んでいた私でもよくわからなかったもの。『イージス』を観終わったあとに「想像で補うにも限界があるのだよ!」と憤慨したのが遠い思い出。

なぜ○○に第3の原爆を落すことが日本にとってそこまで有効な手段になりえるのか?ということは謎でしたが、きっと原作を読めばクリアになるはず。あとはローレライシステムの原動力というか、なぜあんな画期的なシステムが出来上がったのか?という部分が全く解決されずに、役所艦長以下乗組員があっさりローレライシステムを信頼しきっちゃってるのには違和感を感じました。普通、怖くて使えないよ。そこが終戦間近の逼迫した心理状態なのでしょうか?

お涙頂戴の部分もうまく描かれているし、私的には満足の行く映画化でございました。原作にも取り掛かってみよう!と思わせてくれましたし。

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2006/05/24

ミステリ者に100の質問

01 お名前を教えてください
まじょ。です。
02 サイト名とその由来を教えてください
まじょ。のミステリブロ愚。愚の骨頂だから。
03 ご職業を教えてください。
会社員。
04 ネット歴を教えてください
遠い目…中学生?
05 愛用のマシンは?
ハードはdynabook(白)です。
06 愛用のブラウザを教えてください
ブラウザ?
07 メーラーは何を使っていますか?
メーラ?
08 サイトを作る時に使うツールを教えてください
ツール?
09 よく利用する検索エンジンはなんですか?
やっほぅ。
10 よく巡回しているミステリ系サイトを教えてください
公式サイトなら森博嗣氏、氷川透氏、黒田研二氏。
ブログのレビュー巡りが楽しい。

11 よく巡回しているミステリ系以外のサイトを教えてください
乙女にそんな質問をしてはいけません。
12 サイトを立ち上げる上で参考にしたサイトなどあれば教えてください
皆さんのいいところを切り貼り。
13 自分の属性はなんだと思いますか?
冷属性。冷たい人間だとよく言われます。
14 オールタイムベスト3の作家を教えてください
ころころ入れ替わるからなぁ。
とりあえず東野圭吾氏、森博嗣氏、小野不由美氏の再読率は高いです。

15 今、注目している作家を教えてください
本多孝好氏。イチオシ。
16 これから読んでみたいと思う作家を教えてください
恩田陸氏の作品に本格的に取り組みたい。
17 オールタイムベスト3の作品を教えてください
これまたころころ入れ替わるからなぁ。
『missing』本多孝好氏
『秘密』東野圭吾氏
『アクロイド殺し』アガサ・クリスティ氏 あたりかな?

18 今年にはいってから読んだ新刊で印象深かったのは?
辻村深月氏『ぼくのメジャースプーン』。
19 ミステリ系以外でよく読む読書ジャンルはなんですか?
漫画。
20 ミステリ系以外で好きな作家は誰ですか?
山田詠美氏。
21 これからチャレンジしてみたいと思う読書ジャンルはなんですか?
古典ミステリをもっと深く。
22 無人島にいく時に一冊だけ持参していいと言われました。何をもっていきますか?
辞典。解説が可笑しいやつね。新明解みたいな。
23 ミステリを読んだことがない友達が「なにかいいのない?」と聞いてきました。なにを勧めますか?
アガサ・クリスティ氏『アクロイド殺し』。真相を知らない幸せがここに。
24 嫌いな友だちも同じような質問をしてきました。なにを勧めますか?
いや、ちゃんと勧めますよ。でも、自分が嫌いな友達は向こうも嫌いだろうから、きっと聞かれないことでしょう。
25 買って「しまった!」と思ったミステリを正直にお答えください。
買っただけで「しまった!」と思ったのは無いですよ。(きっと意図と違うね)
26 購読している文芸誌はなんですか?
基本的に文芸誌は購入してないです。年末と特集が気になるときの『ダヴィンチ』かな。
27 文芸誌以外で読んでいる雑誌はなんですか?
ファッション雑誌。年頃のおなごですから。
28 あなたが信頼しているミステリ系の「賞」はなんですか?
江戸川乱歩賞とか?逆に芥川賞・直木賞は信頼してないです。
29 あなたが参考にする評論家・書評家を教えてください。
音楽家の菊池成孔氏の語り口は好きです。
30 あなたが新刊を購入する際に参考にするものはなんですか?
あらすじとネームバリュー。
31 一ヶ月の書籍代はいくらくらいですか?(新刊・古書ふくめ)
平均して三千円くらい。
32 理想を言えば、どのくらい書籍代が欲しいですか?
月一万円くらい使えたら幸せだろうなぁ。
33 一度に購買した冊数の自己記録は何冊ですか?
古本も含めて良いなら、20冊くらい。
34 好きな書店を教えてください。
現在住んでいるところで、一番近くて品揃えが良いのは文教堂。
35 好きな古書店を教えてください。
ブック・オフ。
36 ネット書店は利用しますか? 
密林やセブンアンドワイをネット書店とは云わないですよね?
37 利用する人はよく使うところを教えてください。利用しない人はその理由を教えてください。
1500円以上なら密林。以下ならセブンアンドワイ。
38 あなたの読書への情熱について、周りの人(家族や友人)からなにかコメントされたことはありますか?
「本はたくさん読んでるけど、そこから知識は得てないね」とよく言われます。
39 「ついに見つけた!」と思わず感涙してしまった本があったら教えてください。
見つけただけでは泣けません。読んでみないと。(←こういうこと云うから冷たいっていわれるんだよ)
40 今、探している本を教えてください。
便利な世の中になって大抵の本は手に入ってしまいますよね。ただ、面白い本を求めて随時ジプシーしております。
41 復刊して欲しい本があったら教えてください。
復刊?刊行物ってことですか?なら、ありません。
42 友だちにミステリを布教したことがありますか? どんな方法で?
あります。貸したり、宣伝したり。
43 ネタバレされたことがありますか? それは誰に?
嫌っていうくらい。友達とかネットとか。ネットが多いかな。いきなり目に飛び込んできますから。
44 ネタバレした相手にはどんな報復措置をとりますか?
報復?お主も悪よのう。
45 逆に自分でネタバレしてしまったことはありますか?
ブロ愚にて。警告文は入れていますが、きっと目に飛び込んでしまった方もいることと思う。
46 その時はどうやってごまかし…いえ、どう対処しましたか?
この場を借りて、ごめんなさい。
47 「自分ってミステリ者だ…」と思うときはどんな時ですか?
ブロ愚の記事がどんどん増えてゆくとき。
48 好きな探偵は誰ですか?
いっぱいいますよ?
犀川創平、瀬在丸紅子(森博嗣氏) 火村英生(有栖川有栖氏) 桑原崇(高田崇史氏) 加賀恭一郎(東野圭吾氏) 龍宮城之介(清涼院流水氏) 安藤直樹(浦賀和宏氏) 法月綸太郎(法月綸太郎氏) 猫丸先輩(倉知淳氏) 二階堂蘭子(二階堂黎人氏) 氷川透(氷川透氏)
…もう疲れた。以下略。 

49 好きなワトソン役は誰ですか?
いっぱいいますって。
保呂草潤平(森博嗣氏) 香月実朝(麻耶雄嵩氏) 有栖川有栖(有栖川有栖氏) 二本松翔(霧舎巧氏) 蒼(篠田真由美氏)
…これまた疲れた。以下略。

50 恋人にしたいミステリの登場人物は誰ですか?
難しいですが、一番最初に浮かんだのは保呂草潤平(森博嗣氏「Vシリーズ」)かな?
51 逆に恋人にしたくないミステリの登場人物は誰ですか?
これまた難しいですが、自分が男なら西之園萌絵(森博嗣氏「S&Mシリーズ」)
52 友だちにしたいミステリの登場人物は誰ですか?
蒼(篠田真由美氏「建築探偵シリーズ」)
53 友だちにしたくないミステリの登場人物は誰ですか?
そういう人は大抵殺されちゃいますから。
54 自分がミステリの登場人物になるとしたら、どんな役がいいですか?
名探偵(即答)。
55 ミステリ的土地にいったことがありますか?
行きたいですね。ツアーとか組んでくれませんかね?
56 ミステリ的土地にいってやってみたいことはありますか?
その場所でそのミステリを読みたいですね。イメージでしか無かった景色の描写を目の当たりにしたい。
57 自分がミステリにはまったきっかけはなんだと思いますか?
両親が読んでた西村京太郎氏。
58 子供の頃、好きだったミステリがあれば教えてください。
ルパンかなぁ。いま読んでるのはリュパン。
59 ミステリ的読書のガイド本にしているものがあれば教えてください。
『森博嗣のミステリィ工作室』(森博嗣氏)とか『有栖川有栖の密室大図鑑』(有栖川有栖)とか。
60 ミステリで好きな台詞を教えてください。
「名探偵 みなを集めて さてといい」この標語が大好きです。
61 思わず号泣してしまったミステリを教えてください。
東野圭吾氏の『秘密』。
62 あなたにとってバカミスと思えるミステリを教えてください。
東野圭吾氏の『名探偵の掟』。最高です。
63 装丁がすてきだと思うミステリを教えてください。
カバーをかけて読むタイプなので、装丁はあまり気にしないのですが…。
米澤穂信氏の「小市民シリーズ」のイラストはかわゆくで好きです。

64 世の中での評価が低いんじゃない?と思っているミステリを教えてください。
ミステリ自体の評価が、世間において低いと思う。
65 こんなミステリが読んでみたい、というのがあれば教えてください。
前人未到のトリックを使った、前人未到のミステリ。もう無いって?
66 あなたが今、気になっているミステリ的事項があれば教えてください。
「後期クイーン論争」(嘘)
十二国記の続きはいつになったら出るのか(ミステリじゃないじゃない)。

67 ミステリ者的生活において、今、不満に思っている事を教えてください。
最近、ミステリの出版数が減ったような気がしませんか?
68 その不満はどうやって解消できると思いますか?
作家の先生、頑張ってください!
69 本を読むのはどの時間帯が多いですか?
夜、寝る前。休日、一日中。
70 ミステリを読むのに最高のシチュエーションを教えてください。
珈琲と煙草とミステリと。
71 読書以外の趣味はなんですか?
でっかい金額の買い物。
72 その趣味と読書、お金や時間を一番かけてるのはどれですか?
でっかい金額の買い物は、お金がすごくかかるのに一瞬で終わる。寂しい。
73 ミステリを書いてみたいと思いますか?
ミステリ的な出来事に遭遇してみたいと思うことはあっても、書きたいと思ったことは一度もありません。
74 書籍の片づけ方で工夫していることを教えてください。
作者別、サイズ別、出版社順。
75 本屋で出会った面白い・または面白くないエピソードを教えてください。
大学生のときに本屋でアルバイトをしていたので、沢山ありますよ。
76 サイン本はもってますか? 持っているとしたらどの作家のですか?
本多孝好氏の『MOMENT』。柄刀一氏『3000年の密室』。
77 サインが欲しい作家はいますか?
サインよりもお会いしてみたい。
78 ミステリ系のイベントに参加したことはありますか?
柄刀一氏のトーク会に先日参加しました。
79 これから参加してみたいイベントはありますか?
ホテル等でやるミステリーナイトとか参加してみたい。
80 今、鞄の中にはいっている本はなんですか?
恩田陸氏の『三月は深き紅の淵を』。
81 好みのトリックはありますか?
叙述トリック。
82 作品の出来に関わらず、このトリックはすげえ!と思った作品はなんですか?
ミステリはトリックの出来=作品の出来だと思いますよ。あぁ、でも駄作にしてしまうケースは多々あるのか。
83 ミステリの犯人になるとしたら、どんなタイプの犯人になりたいですか?
完全犯罪です。殺人が起こったことを悟られてはダメです。
84 あなたに子供が産まれました。ミステリ英才教育はしますか?
しません。でも、好きになってくれたら、親として嬉しい限りでしょうね。「私の血をひいてる」と。歴史小説が好きになったら同居人の血をひいてる…。
85 ご家族はミステリを読みますか?
読みます。西村京太郎氏限定。
86 実写化・もしくはアニメ化してほしい作品はありますか?
興味は無いですが、西尾維新氏の「戯言シリーズ」とかアニメ化しそうじゃないですか?
87 このキャラはこの役者さんにやって欲しいというイメージがある人はいますか?
好きなキャラの声は石田彰さんに充ててもらいたいものです。
88 逆に絶対に映像化して欲しくない作品はなんですか?
『アクロイド殺し』とかできないですよね。
89 著作をコンプリートしている作家はいますか?
結構いますよ。本多孝好氏とか、有栖川有栖氏とか。森博嗣氏は最近、多岐に渡りすぎてて難しくなってきました。
90 家が火事になったら、どの本を持って逃げますか?
いや、そのまま逃げますよ。普通。
91 「このミス」を読んで、思うことはなんですか?
「私の隠し玉」を読むたびに「本当かよ、おい!」と思います。
92 ヤフーオークションで本を競り落としたことはありますか?
デヴィット・ハンドラーを100円で落札しました。
93 逆にヤフーオークションに蔵書をかけたことはありますか?
ありません。
94 図書館は利用しますか?
フル活用です。
95 利用する人はその利点を、利用しない人はなぜ利用しないか教えてください。
ダですよ?買うほどではないけれど、興味のある作品をタダで読めるんですよ?(作家の皆様申し訳ない)
96 「日常の謎」に遭遇したことがありますか? それはどんな謎でしたか?
謎だらけ。どうして私の部屋はこんなに汚いのか?とか。
97 ミステリー映画・もしくはコミックでオススメがあったら教えてください。
いま夢中なのは『名探偵コナン』。夢中になり方が腐ってますが。
98 気が早いですが、今年のこのミスの一番はなんだと思いますか?
私の予想は大抵はずれる。
99 現在のご自分の蔵書数はどのくらいだと目算をつけていますか?
300強かな?
100 最後はあなたがミステリ者に質問をだしてください。さあ、どうぞ!
Q:オススメミステリを一冊ずつコメントしてくださると嬉しいです(←質問ではなく願望)

配布先 高橋ハルカ@週間札幌読書案内 様

以前回答したものを修正致しました。100も回答するのは非常にしんどいですね…。
ここまで読んだくださった方(いらっしゃいましたら)ありがとうございます!

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『さよならの代わりに』 貫井徳郎

さよならの代わりに Book さよならの代わりに

著者:貫井 徳郎
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

劇団の看板女優が公演中の控え室で殺害された。

事件を予測していたかのような発言を繰り返す少女の登場に僕は惑わされる。

少女が抱える秘密とはなんなのだろうか?

最初はイイッ!と思ったんだけどなぁ。

序盤はグイグイ引き込まれる展開。でも中盤から中弛みし、後半は予定調和に落ち着きました。帯に書かれた“予想外の結末”なんてセリフに年甲斐も無く騙されてしまった私。そうなんだよ、帯に書かれていることなんて、大抵嘘八百なんだよ。

「貫井氏の作品を読んでいる」という先入観から、「絶対なにか仕組んでいる」と身構えてしまったのが敗因でしょう。貫井氏については何度かレビューでも触れているように“大どんでん返しの名手”として認識しております。今回もどれほどのどんでん返しがあるのかと思ったら…。

ミステリとしての決着も妥当なところで、際立った特異点もなく、「ふぅん」といった感じ。貫井氏の読ませたかったのは“さよならの切なさ”なのかもしれませんが、そんな純文学が読みたいんじゃないやい!

ここからネタバレ記事にします。ネタバレ無しで書こうと思っていたのですが、やっぱり書きます。

謎の少女・祐里は未来からタイムスリップしてやってきたという設定です。この設定自体には偽りはないと踏んでいたのですが“予想外の結末”というからにはこの部分に何か仕掛けているのだろうと思っておりました。

例えば、祐里が新條さんの孫という設定がダミーで、実は和希と智美さんの子どもである(祐里と新條さんがそっくりだという設定はどこにいった!)とか、実は殺害された香織さんに刺さっていたナイフは未来から祐里が持ち込んだもので、事件の犯人も祐里である(犯罪者の孫ってことで差別を受けていた娘がそんなことするか!)とか。

でも違ったのですね。(自分で既に反論あげちゃってるじゃないですか!)祐里が未来に戻れなくなった(あるいは死体で戻った)ことにどのような衝撃があったのかが気になるところではありますが。神隠し扱いでしょうか?

既に上記のようなストーリーとは関係ない事柄に興味を持ち始めている時点でOUTって感じでしょうか。序盤のグイグイきてる感じが良かっただけに、ちょっと残念な読了でございました。

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2006/05/23

『ふたり探偵』 黒田研二

シリアルキラーJによる連続殺人事件が頻発。

捜査にあたる恋人がその魔の手にかかり意識不明との情報が、札幌から上野への寝台特急“カシオペア”に乗車中の友梨の元に寄せられた。

そして友梨の身に起こる不思議な変化。

謎と論理のフルコースを召し上がれ(by 太田忠司氏)

連続してこの『ふたり探偵』のレビューを見る機会があったものですから、「あぁ、私もこの話好きなんだよねぇ」と再読を決意致しました。

この『ふたり探偵』はクロケン(黒田研二氏)の生み出した作品の中でも名作だと思います。

帯にでかでかと書かれた太田忠司氏の紹介文の通り、謎と論理をお腹一杯楽しむことができます。

この『ふたり探偵』では主人公・友梨の身にちょっとした(いや、かなりの)不思議現象が起こるのですが、その現象こそが『ふたり探偵』たるタイトルの所以。その現象とは意識不明の重態である恋人の意識が、友梨の意識と同調(憑依)し、ふたりで意見を交わしながら起こった殺人事件を解決してゆくというもの。普通ミステリの設定にこんな奇異な設定をもってこられると「は?」ってなものなのですが、その設定をうまく利用してバキバキの本格ミステリをクロケン氏はやってのけるのですね。その論理の精巧さからいって、本格ミステリとしか云い様が無い。

この奇異な現象を主人公があっさり受け入れることなく、ストーリーの半分くらいまで疑ってかかるところがまた現実的。伏線も至るところに張られていて、ぼーっと読んでいる暇はありません。作者が読者に対して仕掛ける叙述トリックも爽快感がありますし、とにかく本格ミステリマニアをも唸らせる一作となっております。

是非ご賞味いただきたい、と。

蛇足と知りつつ付け加えますと、この『ふたり探偵』には続編があるのですが、そちらはストーリー展開は良いのですが、論理部分にちょっと隙があるというか、後から設定をいじくりました!感が否めない一作となっております。そこがまた残念なのですが、『ふたり探偵』と同時に続編もお読みいただけたら…と思います。

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2006/05/22

『ニンギョウがニンギョウ』 西尾維新

ニンギョウがニンギョウ Book ニンギョウがニンギョウ

著者:西尾 維新
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

私は17番目の妹が死ぬたびに映画館に行く。

戯言シリーズで御馴染みの西尾維新ノン・シリーズ。

これを理解できる人はいるのでしょうか?

あまりに破綻したストーリーに、内容紹介を書くことすらできませんでした。というか、ストーリーなんてありましたっけ?誰か教えてください…。

戯言シリーズも『サイコロジカル』くらいまではまともに読めたんだけれどなぁ。『ヒトクイマジカル』『ネコゾギラジカル』あたりは、いーちゃんと蒼の過去くらいは解き明かして完結するだろう…という希望だけが私の手を動かしておりました。

西尾維新氏は確か私と同い年だったと記憶しております。西尾氏が“京都の二十歳”と呼ばれていた頃、私もちょうど二十歳だったものですから。『クビキリサイクル』を読んだときは、すんごいこと考える同級生がいるもんだと感嘆しましたが、もう西尾氏の考えていることがわかりません。

西尾氏は「ファウスト」創刊からもわかるように、出版界に新しいムーブメントを巻き起こしましたが、西尾氏のやることなすこと「はい、賛成!」という世情にはちょっと納得しかねます。だって、『ニンギョウがニンギョウ』をきちんと理解できる人がそうそう居るとは考えられないもの。この『ニンギョウがニンギョウ』が出版に至る…という世の中が信じられません。西尾氏のネームバリューだけで確かに売れるかもしれないけれど、出版業界というものは売れれば良いってものではないでしょう?その本を出版し、読者がそれを読むことでなにか新しい感覚・懐かしい感覚を呼び覚まして欲しい、そう願って本を創ることが出版業界に求められた使命だと思います。売れるからといって破綻した物語を世の中に出すことではないはず。

なにかが大きく変わってきている。その一端に西尾維新氏が居る。良いのか悪いのかは一個人では判断できないけれど、私の感情論で云えばそれは“否”なのです。

次に読む西尾氏の作品は『クビキリサイクル』にしよう。褒めちぎったレビューを書こうと私は誓うのでございます。

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2006/05/21

『いつか、ふたりは二匹』 西澤保彦

いつか、ふたりは二匹 Book いつか、ふたりは二匹

著者:西澤 保彦
販売元:講談社
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ぼくは眠っている間だけ、ジェニィになることができるんだ。

今日もぼくはジェニィになってピーターのところでお昼寝をする。

そんな猫と犬の冒険物語。

この話も良かった!

ミステリーランドって本当に粒揃いですよね。設定で遊ぶことができることによって、内容が活きる活きる。この『いつか、ふたりは二匹』も完全に設定の勝利です。どうしてぼくがジェニィになることができるのか…なんて野暮なことを聞いてはいけません。いきなりジェニィなぼくのシーンから始まるので、違和感もかなり解消されているし。

小学校6年生のぼくも周りから“トモジイ(爺)”なんて呼ばれるおませさんという設定で、両親の不在がそのおませさんに説得力を持たせております。ニュースくらいしかテレビは観ないなんて小学生、なかなか居ないと思うぞ。

さて、この『いつか、ふたりは二匹』はジェニィとピーターの友情物語であり、しっかりとした作りのミステリでもあります。ミステリーランドの中でも1・2を争う出来ではないでしょうか。ジェニィとして見聞きしたことをうまくつなぎ合わせて、起こっている小学生連続誘拐未遂事件の真相を看破する。この看破までの流れが非常にスムーズ。ジェニィとしてのぼくを肯定さえしてしまえば、違和感無く読み進めることができます。秀逸。

残る謎はピーターなのですが…それは読んでからのお楽しみ。でも、ピーターについてはちょっと想像を働かせるだけで容易に看破できます。看破してからのピーターはとても愛らしく感じますよ。あぁ、ちゃんと愛しているんだなぁと。

良い作品を読んだときはネタバレせずにオススメする。これ基本。ということで、是非お読みください。

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『名探偵はどこにいる』 霧舎巧

名探偵はどこにいる Book 名探偵はどこにいる

著者:霧舎 巧
販売元:原書房
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犯罪者になりたかった少年が刑事になったとき、刑事への道を拓いてくれた人を超える。

「あかずの扉シリーズ」外伝にして、「名探偵シリーズ」第二弾。

霧舎巧久しぶりの新刊。

あれ?一時間しないで読めてしまいました…中途半端に読んだつもりは無いのだけれど。

というわけで、霧舎巧氏久しぶりの新刊です。「あかずの扉シリーズ」はどうした?「霧舎学園シリーズ」もあと半年分残ってるぞ!と言いたいことは山のようにあるのですが、今回はあくまでも『名探偵はどこにいる』のレビュー。

この『名探偵はどこにいる』は『名探偵はもういない』のまるっきり続編としての扱いですので、『名探偵はもういない』を読了後でなければ魅力はゼロだと思います。『もういない』の方がこの春講談社ノベルスとして発刊されたばかりですので、タイムリーといえばタイムリーなのですが。

でもね、扱っている題材やテーマがぬるいの。過去の犯罪を探る…という緊張感の薄い題材な上に、真相については後動さん(父)が既に解き明かしているわけでしょう?しかも後動(父)の動きをトレースして。そりゃ、解けるさ。解き明かされていない謎を解くからこそ名探偵なのであって、先人が既に解き明かしたものを探るのは教科書を読むのと同じではないですか。

そこに現代の政略争いや今寺刑事の初恋が絡んでくるっていったって…。今寺刑事に萌えている人間がそんなに多いとも思えず、後動(父)の行方不明の真相だってさっぱり見えてこないし。まぁ、父失踪については「あかずの扉シリーズ」で解き明かしてゆくのだと思いますが、それならば「あかずの扉シリーズ」の新刊WO!という気分です。

新刊をあれだけ待ち望んでいたにも関わらず、一時間足らずで読めてしまったという憤りがこのレビューを書かせているわけですが、『名探偵はもういない』でふんだんに描かれていたミステリとしての遊び心を、続編の『名探偵はどこにいる』で踏みにじられた感があるのですよ。残念。

過去の事件の真相だって、初恋といっしょに封印された謎だって、大して難しいものではなく、読んでいてあっさり看破できるものだったしね。大人を悩ませるような謎ではない。やっぱり「あかずの扉シリーズ」くらいの重圧なものが霧舎氏の作品で読みたいわけです。

カケルとユイに会いたいです。

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『翼ある闇』 麻耶雄嵩

翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件 Book 翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件

著者:麻耶 雄嵩
販売元:講談社
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今鏡一族が住む蒼鴉城で巻き起こる連続殺人事件。

ふたりの名探偵がこの謎に挑む。

麻耶雄嵩、衝撃のデビュー作。

『翼ある闇』は何度読んでも良いですね。かなりの厚さがありますが、読み易い文章と読者を引き摺り込む内容のおかげで、厚さを全く感じさせません。ただ、ミステリ入門書としてはオススメできませんが…。エラリー・クイーンあたりをちょっと齧りました!くらいのミステリファンにオススメ。

さて、早速ですがここからネタバレします。かなり濃いネタバレになりますので、麻耶雄嵩氏の他の作品をこれから読もうと思っている方も注意が必要です。

この『翼ある闇』の何が最も衝撃だったのか…。トリックや見立て、ミッシング・リンクはもちろんですが、なによりもヘイスティングスが名探偵だった!というところに、この作品の凄さがあります。

『翼ある闇』は麻耶氏のデビュー作ですので、ヘイスティングス=実朝が今鏡家の内実に詳しかったから謎が解けたのか、真の名探偵だったからなのかは読み解くことができません。私がこの『翼ある闇』を読んだのは高校生の時でしたが、そのときもミステリマニアの友人と議論を交わしたものです。しかし、この謎は同じく麻耶氏の『名探偵 木更津悠也』で氷解する仕組みとなっております。未読の方は早急にお読みくださいませ。

さらに、この『翼ある闇』には副題がございまして、そのタイトルはずばり『メルカトル鮎最後の事件』とあるのです。デビュー作にして名探偵を殺してしまいますか!という驚き。このメルカトル鮎はシルクハットを被った奇人変人ナルシストさんなのですが(申し訳ない。個人的にメルカトルは苦手です)、メルカトルがいなくてはこの『翼ある闇』の見立てが成立しないとはいえ、最後の事件と副題といて銘打ってしまうところが凄い。

あとは見立てですね。エラリー・クイーンの国名シリーズ通りに殺人を犯してゆくなんて、なんとナンセンス!エラリーを読んだことの無い人にとっては?だし、読んだことのある人にとってはある意味バカミスに成り下がってしまうという、二重の危険性を孕んでおります。だからこそ実朝の謎解きが映えるわけですが…。

というわけで、かなりの問題作である『翼ある闇』。ミステリに対して許容範囲の広い方は是非お読みくださいませ。

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2006/05/20

『各務原氏の逆説』 氷川透

各務原氏の逆説 Book 各務原氏の逆説

著者:氷川 透
販売元:徳間書店
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困ったときにぼくが頼るのは、各務原氏である。

各務原氏はぼくらの高校の用務員であり、カウンセラーでもある。

殺人事件が起こっても、困ったぼくが行くのは各務原氏のところなんだ。

氷川透氏の新刊『各務原氏の逆説3(仮)』がようやく発売の運びとなりましたので、シリーズ第1作目を再読してみることに致しました。

いやぁ、この「各務原氏シリーズ」はロジックが弱いね!私は「氷川透シリーズ」のこれでもかっ!と言わんばかりのくどいロジックが好きなので、ライトに書き下ろされた「各務原氏シリーズ」では満足ゆきません。

氷川透氏は『真っ暗な夜明け』第15回メフィスト賞を受賞しデビュー。論理・ロジックを駆使した若手本格ミステリ作家という位置付けなのですが…最近の作品にはデビュー当初のようなロジックが見られなくなっております。この「各務原氏シリーズ」も然り、『逆さに咲いた薔薇』然り、どうにも満足できない。ライトにしよう、ライトで行こうという策略が見え隠れ致します。どうかデビュー当時の作風に戻っていただきたい…という切なる願い。

この『各務原氏の逆説』の舞台は軽音楽部。氷川氏自らがジャズをやっていたということもあって、ジャズに対する熱い想いには深いものがあります。「氷川透シリーズ」の氷川透も同様。氷川氏の作品を読むときには、意図的にジャズをBGMにするようにしております。だって読んでいる最中に必ず聞きたくなるのだもの。私は楽器の演奏はからっきしできませんが、セッションって本当に気持ち良いんだろうなぁと、氷川氏の作品を読むと感じます。羨ましい。氷川氏のピアノを是非とも聴いてみたいと思います。

さて、ここから『各務原氏の逆説』のトリック(?)に触れます。ご注意ください。

えっと、キャラクタを誤認させることの意味がさっぱりわかりません!

最初と最後に登場する桑折亮くん。彼は=氷川透らしいのですが…だからどうした?新手のファンサービスでしょうか?登場人物表で(重要な人物が一人だけ抜けていますのでご注意ください)なんて注意書きがあって、抜けているのは物語の語り手である主人公なのですが、彼を意図的に桑折亮であると誤認させて何のメリットがあるのでしょうか?物語とは全く関係の無いところで叙述トリックをかましてどうするのでしょうか?斬新すぎて開いた口が塞がりません。深い意味があったとは思えない…。しかも『見えない人影-各務原氏の逆説』では桑折くんが常設キャラクタになってたりするし。

チェスタトンばりの逆説の紹介文を読むとなんだか涙が出てきます…。

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映画「陽気なギャングが地球を回す」

観て参りました「陽気なギャングが地球を回す」。

折りしも本日は「ダ・ヴィンチ・コード」の世界同時公開日。チケットカウンターには長蛇の列。「ダ・ヴィンチ・コード」専用のブースを作ればいいのに…と愚痴りながら、横入りしようとする高校球児(フェアプレーの精神はどこにいった?)を睨みつけ、待つこと30分。ようやくチケットを手に入れて席に着きました。

見事にポップ&クラシックな映画でございました。

キャストの皆さんが身につける衣装が80年代でとにかくポップ。あんなデーハーなシャツを見事に着こなす大沢たかお氏に、これが淘汰されたボディコンね!をこれまた見事に着こなす鈴木京香さん。ポップだ。金髪の佐藤浩市氏もキャスケット姿がかわゆい松田翔太くんも良い。キャスティングはとにかく◎の本作。袖カバー公務員姿の大沢たかお氏もまた良くって。

クラシックが表すのは車。私の好きなクラシックカーが満載。ポップなギャングにクラシックカーだなんて、なんて豪華な映画なのでしょうか。車といえば、CGをふんだんに使ったカーアクションはどうかと思いましたが…。

さて、肝心のストーリーですが…これだけは×印を付けずにはいられません。

なぜ原作通りにやらなかったのか?

という憤り。いや、オリジナルでも見事に成立していれば良いのですよ。でもね、最後にどうしてああなったのか、ぼんやりとではなくて論理的に説明していただきたい!あぁ、○○がうまいことやったんだろうなぁ…では満足できないのですよ!ぷんぷん。そのあたりがしっかり描かれていれば×とまではゆかなっただろうに。あとは成瀬と雪子の恋愛模様がね。たとえ互いに恋愛感情を持っていたとしても、前面に押し出さずに奥ゆかしく大人らしくやってくだされば。仲間の中に恋愛感情は不要だと思っている私。恋愛が入った途端に輪が崩れちゃったりするんだもの。公私を分ける…といえば判りやすいかしら。原作との変更点に粗が目立ったような気がします。やっぱり原作の方が上か…と思ってしまった悲しい瞬間。

ただ、映像とひねりの利いたジョークには満点をあげたい。象とキリンと冷蔵庫なんて、まさに最後まで楽しませてくれたではないですか。響さんのエンドロール演説も良かった。聞き入ってしまったもの。響さん=佐藤浩市氏には鑑賞前ちょっと違和感を感じていたのですが、あれだけの説得力のある演説をさせるには並大抵の役者じゃ駄目だ!と、佐藤浩市氏クラスの役者じゃなきゃ駄目だ!と実感しました。大沢たかお氏と佐藤浩市氏のビリヤードの場面なんて、かっこいい男ふたりに身悶えします。って、映像とジョークの話をしていたはずなのに、いつの間にか佐藤浩市氏の話に・・・。

とにかくポップ&クラシック&スマート(おぉ、いつの間にか増えてる…)な映画で、また観ても良いなと思わせる一作でございました。

原作のレビューはこちら

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『交通警察の夜』 東野圭吾

Book 交通警察の夜

著者:東野 圭吾
販売元:実業之日本社
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誰もが加害者被害者になりうる交通事故。

交通事故を題材に東野圭吾が描く珠玉の短編集。

先日の『探偵倶楽部』レビューで『交通警察の夜』に収録されている「天使の耳」を大絶賛したあと、妙に読みたくなって、読む予定だった本を押しのけて手に取りました。やっぱり良い。

私が所有している『交通警察の夜』は初版版でもなく、文庫化の際に改題された『天使の耳』版でもなく、東野圭吾氏10年ぶりのあとがきが収録されている『交通警察の夜』第二版です。このあとがきで東野圭吾氏が以下のように述べていらっしゃるのが印象的。

こうして振り返ってみると、当時は丁寧な仕事をしていたなあと思う。小説技術は、たぶん今のほうが上だろう。しかし一作にかける気持ちの熱さは、あの頃にはかなわない。

どんな作品を書いても思ったように評価されなくて、くさくさしていた頃の東野圭吾氏。今の東野氏からは想像もできない御姿ですが、多くの巨匠は死んでから名を残したものです(by名探偵コナン)。東野圭吾氏は既に超一流。継続は力なりって本当ですね。

この『交通警察の夜』の最大の功績は「天使の耳」が収録されていることだと私は勝手に分析こいているのですが、皆様いかがでしょうか?読了後あんなにぞくっ!とさせられる作品は無いと思います。

読書の魅力のひとつに“騙され感”というのがあります。作中で描かれる物理トリック・心理トリックの他に、作者の仕掛けた叙述トリックに読者が騙されるというもの。私はこの叙述トリックをこよなく愛していて、かの有名なアガサ・クリスティ氏の作品を偏愛しているのですが、「天使の耳」は叙述トリックではないのに、叙述トリックを読まされたときのような騙され感を味わうことができます。まさに匠の技。

他の収録作品も小説として絶妙。東野氏があとがきで明かす狙いと合わせて読めば、楽しさも2倍です。是非、お手にとってみてくださいませ。

天使の耳 Book 天使の耳

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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2006/05/18

『探偵倶楽部』 東野圭吾

探偵倶楽部 Book 探偵倶楽部

著者:東野 圭吾
販売元:角川書店
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VIPのみが利用可能な会員制探偵・探偵倶楽部。

日本人離れした男と黒髪を切り揃えた女が依頼人の元へやってくる。

彼らが解き明かす真相とは?

東野圭吾氏の作風が若い。この『探偵倶楽部』を成熟させると『嘘をもうひとつだけ』のような作品になるのでしょう。

『探偵倶楽部』はVIP専用の凄腕探偵が解き明かして欲しくない謎まで解き明かしてくれるという趣向の短編集です。探偵倶楽部は正義の探偵ではなく、あくまでも営利目的の探偵ですので、警察の見方ではございません。守るべきは真実ではなく、VIPなお客様。こういうプロ根性は好きです。

でも、倶楽部のふたりは秘密裏に捜査を進めるので、どうしてその真相に行き着いたか?という謎をさっぱり解決してはくれません。そこが残念なところ。その点、比較対象として紹介した『嘘をもうひとつだけ』の方が優れていると個人的に感じます。『嘘をもうひとつだけ』の探偵役は我らが加賀刑事ですし。加賀刑事・愛。

ミステリとしても、読み慣れている人間にとっては物足りない結末が多いです。ただ、東野圭吾氏くらいメジャーになるとミステリマニアだけでなく、ちょっと通勤のお供に…と『探偵倶楽部』を手にとる方も少なくないと思いますので、その意味で一般受けする作品かもしれません。ミステリマニアにとっては大したどんでん返しじゃなくても、読み慣れていない人にとっては大大大どんでん返しかもしれない。

貫井徳郎氏『光と影の誘惑』のレビューで「(貫井氏の)短編の構成や落し方が東野圭吾氏に近い」という内容の雑文を書きましたが、東野圭吾氏の短編はラストにとんでもないところへの着地を用意してくれるので好きです。記憶にある中で最も“ぞくっ”とするラストだったのは『交通警察の夜』に収録されている「天使の耳」という作品です(文庫化された際に短編集のタイトル自体が『天使の耳』に改題されましたが、私が読んだのは『交通警察の夜』だったものですから)。この作品のラストはすごいですよ。最後の最後でそうもってくるか!という感じです。オススメ。

今回の『探偵倶楽部』のオチにはこういう“ぞくっ”と感が無かったのが残念。でも、普通に読めます。さすが“東野ブランド”。

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2006/05/17

『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎

陽気なギャングの日常と襲撃―長編サスペンス Book 陽気なギャングの日常と襲撃―長編サスペンス

著者:伊坂 幸太郎
販売元:祥伝社
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人間嘘発見器、演説の達人、体内時計、スリの天才。

4人の陽気なギャングが再集結。

『陽気なギャングが地球を回す』待望の続編。

蛇足という言葉を皆様ご存知でしょうか?

蛇に余計な足を描いたために嘘がばれてしまうという中国の故事。中学校の教科書にも記載されている有名な逸話です。私が『陽気なギャングの日常と襲撃』読了後、真っ先に思いついたのがこの故事。続編、必要だったのかな?

5月13日に『陽気なギャングが地球を回す』が全国公開され、好評を博している模様ですが、映画化に乗っかったマルチ商法を見せられた気が致します。って、すっかり乗っかって購入しちゃってる哀れな自分がここにいるのですが…。

本作はギャングの本業である銀行強盗がメインではなく、前作のように止むに止まれぬ事情があって巻き込まれたわけでもなく、自分たちからトラブルに飛び込んでゆくギャング。この自発的な行動が私の描いていたギャング像と隔たりがあるのですね。「対岸の火事」という言葉がありますが、ギャングたちにはこの「対岸の火事」を地でいって欲しかった。

テンポも前作と比べると控えめで、スピード感が無い気がします。失速?4人の巧妙な駆け合いが見られないのが非常に残念。

もちろん伊坂氏お得意の伏線張りまくり状態には圧巻でございますが、想定の範囲内なのですよ。最後に「おおっと!そう来たか!!」という感嘆符が出てこない。これまた残念。

きっと続編に対する期待が知らず知らずのうちに高まり過ぎていて、辛めの読書となったことが一番の原因だと考えます。前評判とか直前に読んだ作品(『死神の精度』)があまりにも自分好みだったからなのでしょう。どんな作家であってもクリティカルな作品を量産できるわけないので、伊坂氏の次回作に期待。きっとこの4人のギャングにまた出逢う機会もあることでしょう。

映画も早いうちに観に行かないと。

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2006/05/16

『ドミノ』 恩田陸

ドミノ Book ドミノ

著者:恩田 陸
販売元:角川書店
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28人のマトリクスが東京駅に集結。

倒れ始めたドミノはもう、誰にも止められない!!

恩田陸にも手を出しておかなきゃ、読書マニアは語れないよね…ということで、これまで倦厭気味だった恩田陸氏に積極的に挑戦しているところでございます。

『ドミノ』は巻頭の人物紹介表に惹かれて読み始めました。28人もの登場人物を読み分けられるか?(書き分けられるか?)といぶかしんだものですが、そこは女王・恩田陸。そんな心配はご無用でございました。

端的に感想を述べると…「で?」。映画化したらどびっきりのエンターテイメント作品になるであろうこの作品。でもね、読書なの。倒れだしたら止まらないドミノ感が読書というツールでは発揮しきれません。

読書というのはエンターテイメントであるのと同時に、感情移入の場だと私は考えております。『ドミノ』は28人もの人間が登場するために、状況説明や情景説明に多くの頁を裂かなくてはなりません。その分、ひとりひとりの内面に入り込めない。誰に主軸を置いて感情移入したら良いのかわからないのです。萌えキャラが居ないっていうやつですか?

まぁ、くるくる廻る地球の上では誰もが主役であり、誰もが主役ではない。数十万億のベクトルがてんでバラバラの方向を向き、そのベクトルの中でなんらかの渦が出来あがってゆくものですが、読書の世界の中でもそれを感じさせられるのはちょっと寂しいではないですか。

エンターテイメントとしては一流ですので、是非とも映画化・映像化してもらいたい一作でございます。

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『光と影の誘惑』 貫井徳郎

光と影の誘惑 Book 光と影の誘惑

著者:貫井 徳郎
販売元:集英社
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誘拐、密室、現金強奪、そして出生の秘密。

貫井徳郎が贈る4つの驚愕短編集。

貫井徳郎氏の作品は『慟哭』と『被害者は誰?』の2作品しか読んだことのない「本当にミステリマニアか?」と疑われても仕方の無い私。でも、貫井氏の得意技が驚異の大どんでん返しであることは周知の事実として認識しておりました。

この『光と影の誘惑』は貫井氏の必殺技がうまく活かされた名作だと思います。私の持論で「短編の巧い作家は良い作家」というのがあるのですが、その例をとれば貫井氏は充分に良い作家。短編の構成や落し方が東野圭吾氏に近いと感じるのは私だけでしょうか?

4つの短編の中で最も私の好みなのは「我が母の教えたまいし歌」です。大どんでん返しの内容については早い段階で看破することが可能ですが、そこへの持って行き方や描かれ方が私の好み。

純粋にひっかかったのは表題作「光と影の誘惑」でしょうか。「あれ?」と思わせる表記がうまいこと隠されていることにブラボーと叫ばずにはいられない。ミステリではフェア・アンフェア論争が巻き起こることがままありますが、最後に「あっ!」と思わせてくれれば、それだけで私はフェアだと思っております。アンフェアなのは最後に「はっ?」と思わせる作品のことです。

貫井氏の代表作はデビュー作『慟哭』を除けば「症候群シリーズ」ということになるのでしょうか?これから自他共に認めるミステリマニアとなるためにも、貫井氏の「症候群シリーズ」に挑戦することに致します。他にもオススメがあれば是非ご紹介くださいませ。

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2006/05/15

『死体の冷めないうちに』 芦辺拓

××××年、地方分権政策が推し進められる中、大阪府に設置された自治体警察。

自治体警察に持ち込まれるのは警察がさじを投げた怪しい事件ばかり。

自治体警察はその存在を守りきることができるのか?

タイトルって本当に大切だと思います。

この『死体の冷めないうちに』もタイトルに惹かれてついつい手を伸ばした一冊。7つの事件を扱った連作短編集なのですが、各Fileの命名も傑作です。

「忘れられた誘拐」
「存在しない殺人鬼」
「死体の冷めないうちに」
「世にも切実な動機」
「不完全な処刑台」
「最もアンフェアな密室」
「仮想現実の暗殺者」

以上のタイトルを読んで、ミステリ好きなら読みたいと思わずにはいられないはず。私もその口で、非常に楽しみにしていたのですよ…。

肝心の内容なのですが、タイトル負けした作品が多いと云わざるを得ません。トリックが短編には向かないものが多いというか、えっ?これだけで終わり?と拍子抜けさせられてばかり。

「死体の冷めないうちに」も犯人視点だけでなく、自治体警察視点で描いた中編くらいの作品にしてくれたら良かったのに。あのトリックを自治体警察がどう見破ったかが、一番の読み処だと感じたものですから。

タイトルって本当に大事。でも、やっぱり一番大事なのは中身なんですよね。

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2006/05/14

名探偵コナン「天国へのカウントダウン」

名探偵コナン〜天国へのカウントダウン〜 DVD 名探偵コナン〜天国へのカウントダウン〜

販売元:ポリドール
発売日:2001/12/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

勝手にコナンスペシャル第3作目、「天国へのカウントダウン」を鑑賞いたしました。

いやぁ、この作品は哀ちゃんのための、そしてコ哀支持者(わからない方はスルーしてくださって結構ですの。オホホ)へのファンサービスが詰まった一作でございますね。

まずは名物のそりゃありえねーだろ編から。

①蘭姉ちゃんのバンジージャンプ。蘭姉ちゃんすげえよ。普通の女子高生なら飛べません、あそこで。いや、普通じゃなくても飛べません。しかも体は超合金かなにかでできているのでしょうか?普通はロープに体重と重力がかかって、体にくい込み、あばらの一本や二本はイってしまいそうなものですが。蘭姉ちゃんは空手だけでなく、博士(阿笠博士かもしれないし、お茶の水博士かもしれない)にどっかいじってもらっているのでしょうね。

②コンバーチブルのこれまた大ジャンプ。まぁ、哀ちゃんの西之園萌絵化(わからなければあくまでもスルーしてください)は考えられなくないとしても、爆風で飛距離を稼ぐってのできるやもしれないとしても、プールに着水したくらいで彼らがその後無事であるとは思えません。少年探偵団の皆様もいつの間にか超合金化していたのですね。光彦くんも超人ハルクだと判明したし。阿笠博士ったら、超マッドサイエンティストなんだから☆

ということで、彼らの超合金化ですべて解決することと致します。

ここからは哀ちゃんトークで。ついついお姉ちゃんの声が聴きたくて電話を繰り返してしまう哀ちゃん。録音メッセージをさらに録音すれば電話なぞという危険を犯さなくても良いのではないか…というツッコミは無しの方向で。でも、ラストで「自分はもう独りじゃない」と実感したであろう哀ちゃんが愛らしくて愛らしくて。

そうそう、コ哀といえば、哀ちゃん風にパーマをかけて登場した園子に見惚れてしまうコナンに、皆様絶叫したことでしょう。私も絶叫。哀ちゃん、是非とも幸せになってくださいませ。

あとはね、優作さん。「14番目の標的」レビューの際にも書いた“ハワイで新一に悪いことを教えすぎ”の件ですが、ハワイで車の運転も教えていることが判明。いや、オートマティックならゴーカートと要領はいっしょだから問題無いのですが。優作さん、親馬鹿を発揮する前に小説家としての仕事をしてくださいませ。編集者が泣いております。

「天国へのカウントダウン」は「世紀末の魔術師」「銀翼の奇術師」「探偵たちの鎮魂歌」の三大キッド登場作に続く好み作品となっております。キッドといい、哀ちゃんといい好みのキャラが活躍する作品が上位にランクインするわけですね。オホホ。

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『死神の精度』 伊坂幸太郎

死神の精度 Book 死神の精度

著者:伊坂 幸太郎
販売元:文藝春秋
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名前は千葉。職業は死神。

ミュージックを偏愛する死神は今日も死にGOサインを出す。

死神の6つの仕事。

この作品は伊坂幸太郎のベストかもしれない。

伊坂氏の作品は『砂漠』と『魔王』を除けばすべて読んでいるのですが、この『死神の精度』が私の中のベストです。

いつものように「なにがどう良かった?」と聞かれると「えっと…」と断言できない一作なのですが、作品全体を流れる精度が良かった。死神の千葉の存在も、千葉によって死が約束された人間たちも。

お気に入りの一作は「恋愛で死神」。萩原の語る恋愛観と、人間の本質が良かった。まぁ、店長の語る「外見も本質」発言も正しいと思うのですが。見目麗しい人間には、麗しいなりの苦労なぞがあるのでしょう。全く想像できませんし、一生感じることもないと思いますが、そういう悩みがあることを記憶の奥底に沈めておきます。何かの機会に浮上してくるかもしれません。

千葉の物言いで非常に気に入ったのがレトリックの問題。「藤田さんは一味違うんだよ」の発言に「おまえは藤田を食ったことがあるのか」と心の中で返す死神に感服。普段「一味違う」なんて修辞句を使い慣れている人間にとっては、こんな発言想像できない。恐ろしや千葉。そして伊坂幸太郎。

とにかく、私にとってこの『死神の精度』は伊坂作品のベスト。また死神の仕事を拝見する機会に巡り会いたいものです。それが自分の身だったとしても。

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2006/05/13

名探偵コナン「迷宮の十字路」「14番目の標的」

名探偵コナン「迷宮の十字路」 DVD 名探偵コナン「迷宮の十字路」

販売元:ユニバーサルJ
発売日:2003/12/17
Amazon.co.jpで詳細を確認する

近所のレンタルビデオで半額セール中だったので、名探偵コナン劇場版ビデオを3本レンタル。早速「迷宮の十字路」と「14番目の標的」を観ましたの。

まずは「迷宮の十字路」。これは京都が舞台の歴史ミステリです。といっても義経と弁慶がちょこっと絡んでくるだけで、義経がモンゴルに行って成吉思汗になったことをコナンが「真実はいつもひとつ!」と証明してくれるわけではございません。でも、神社仏閣巡りのサービスもあって京都行きたい病が再発。その際にはタタルさん(by QED)を連れて行かなくては。

しっかし、この「迷宮の十字路」はコナンが主役というよりも平次が主役といっても過言ではございませんね。オフロードバイクで野を山を、そして線路までもを疾走する(アニメにCGが利用させるようになって、昔からのアニメっ子としては違和感を感じずにはいられませんよね?)平次。少年剣士の如く木刀を振り回す平次。そして平次の初恋の人登場。まさに平次ファンのための一作。

新一ファンである私にとっても、リアル新一の久しぶりの登場ということで喜ばしい一作でした。平次のふりをするため腕に変声機を着けて、キャップをいじりながら推理を進める新一。その仕種に必要性があったとはいえキザっぽくて素敵☆

キザっぽいといえば、この「迷宮の十字路」に登場した麿刑事(あるいはシマリス刑事)がいろんな意味ですごいですね。貴方の眉毛から目が離せません。白鳥刑事の同期ってところがポイントです。類友ってやつ?鮎置龍太郎さんの変態ボイスがまたマッチしていて最高。

ミステリとしてもああいった小さなとっかかりから犯人を絞ってゆくというストーリーは見所があったと思います。名探偵だからこそ気になってしまう仕種ってやつですか?まぁ、推理のポイントとしては間違いなく弱いと言わざるを得ないのですが。まぁ、お面さえとれちゃえば同じなので良いですがね。

個人的にはまぁまぁ好きな方の作品でございました。さてお次は…

名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット) DVD 名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)

販売元:ポリドール
発売日:2001/03/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この作品の裏テーマは目暮警部と白鳥刑事の愛に違いまりませんね。最新作「探偵たちの鎮魂歌」でもタイムリミットに子どもたちへと駆け寄る博士と目暮警部にそっと寄り添う白鳥刑事が印象的でしたが、この作品はどこで切っても目暮&白鳥です。

ボウガンで撃たれた警部の病室に駆けつける白鳥刑事。目暮警部の場合、肉がかなり厚いので回復も早い早い。おしりを撃たれた阿笠博士の回復も早そうですが…。そして、崩壊した建物から撃たれた傷がひらいて大変な警部を命がけで助けたのも白鳥警部でしたね。あのときの白鳥刑事の顔ったら、真剣そのものでしたね。警部愛だよ。

そうそう、ヘリコプターに乗って「ボク、操縦席の隣に座るのが夢だったんだ!」とはしゃいだコナンでしたが、君は何年かあとにジャンボの操縦席に座れますから楽しみにしていなさい。しかし、コナンがあれだけヘリの操縦知識に詳しかったことについて、警部も小五郎さんも全く忘れておりますが、あれが吊り橋効果でしょうか?(←違うって。恋しちゃうって)

夢といえば拳銃までもをぶっ放したコナン(=新一)ですが、優作さんはハワイで新一に悪いことを教えすぎだと思います。ヘリポートで拳銃をかまえたときの新一はカッコ良過ぎででしたが、ハワイで拳銃をかまえる新一のリゾートファッションはどうかと思っちゃいました。

この「14番目の標的」は劇場版2作目ということでまだまだ推理がメインに据えられていて、テレビの2時間スペシャルを観ているかのような錯覚に陥りました。劇場版はアクションが過ぎるなんて感想を書いたことのある私ですが、ある程度のアクションも必要なのですね…。

さて、次回は「天国へのカウントダウン」でお会いしましょう。哀ちゃんが素敵だったと記憶しているこの作品。楽しみです。

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2006/05/12

『εに誓って』 森博嗣

εに誓って Book εに誓って

著者:森 博嗣
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ジャックされた高速バスの乗客には山吹と加部谷の姿が。

果たして無事に彼らは救出されるのか?

そしてεの名の下に集まる人間たちの想いとは?

5月9日に発売された森博嗣氏Gシリーズの第5弾です。私の住む地域は本の入荷が2日ほど遅れますので…恨めしい。CDなんかだと発売日に購入できるのに、出版物になるとどうして2日も遅れるんでしょうかね。頼みますよ、出版業界に運送業界!

しかも、私の職場の側にある弱小本屋さんで購入しようとしたところ「講談社ノベルス?うーん、マイナーだからあまり入荷しないんだよなぁ」とばっさり切り捨てられました。「森博嗣さん、もう新刊出したの?」とか感心してる前に、入荷した段ボールはその日の朝のうちに開けておいてください(元書店アルバイトからの忠告)。

さて、肝心のレビューです。(ここからはネタに触れます。Gシリーズそもそものネタにも触れます。未読の方はご注意を)

森先生、ごめんなさい。もう、先生の世界に付いて行けないかもしれません。

今回もとにかくとにかく消化不良。そんなに小出し小出しにされなくとも良いのではないでしょうか?

最初は森先生では珍しいノンストップミステリかっ!と興奮したものですが(森先生の小説では一行であっという間に1ヶ月経過したりします。殺人事件に巻き込まれたって日常は通常に流れてゆくものなのです)ε(私はすっかり“エプシロン”で記憶していたのですが、“イプシロン”の表記になっておりましたね。まぁ、どちらでも表示されるのですが)の思想が登場するあたりからノンストップがストップミステリに変化し、最後にはミステリでもなくなってしまいました。

このGシリーズは御馴染みの犀川先生と、新キャラ海月くんの2大看板(2枚探偵)が売りですが、今回も探偵の活躍場面はなく、『θ』から見え隠れする天才に翻弄された形です。天才に至っては犀川先生の妄想…。Gシリーズはギリシア文字がタイトルかつ、謎の集団に与えられておりますが、ギリシア文字24作分シリーズが続き、謎が今作のように小出し小出しされたのならば、森先生から離れてしまうかもしれません。そんなことは避けたい。なんとしても避けたい。

Gシリーズ第5弾『λに歯がない』(9月発売予定)ではなんとしてでもドカン!と展開して頂きたい。赤柳氏には是非とも頑張って貰いたい。お願いします、切実に。

今回は同人誌即売会のネタが森先生らしいなと感じましたが、コアなファンでなくてはにやりとできないかもしれませんね。あとは、山吹が加部谷に覆いかぶさった場面がきゅんとなりましたか。「刀之津診療所の怪」では、山吹もちょっと艶っぽいことを言っていたような気がするのですが…。

とにかくもぉ、読み応えのある作品をここらで一発お願いします!あとは保呂草様の再登場を!!

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2006/05/11

『陰日向に咲く』 劇団ひとり

陰日向に咲く Book 陰日向に咲く

著者:劇団ひとり
販売元:幻冬舎
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あの劇団ひとりが衝撃の作家デビュー。

劇団ひとりとなめてかかるなかれ。

まさに珠玉の連作短編集。

書評ブログでも概ね好評、同居人からの強いプッシュもあり、読んでみました劇団ひとりの『陰日向に咲く』。

ごめんなさい。なめてました劇団ひとり。

帯に書かれた恩田陸氏の推薦文に納得。ビギナーズラックにしてはうますぎる。

「嗚呼、素人の文章で読み難いな…」と思わせたのは最初の3頁くらいまで。全く素人臭さを感じさせない、作家・劇団ひとりワールドが繰り広げられています。同居人に言わせると、最初の3頁までが読み難いのは劇団ひとりがサラリーマン役にのめり込めていないからだそうです。そう、この『陰日向に咲く』は劇団ひとりのコント劇場なのです。

テレビの短い尺では語りきれないキャラクタの陰を、小説という形で昇華させたのがこの作品。

なんとかして落そう!という芸人根性が感じられますが、落すどころか物語を終結させることのできない作家も多い中、劇団ひとりは立派だと思います。

もちろん、恩田陸氏の言葉を借りれば「あと2冊は書いてもらわなきゃ」作家としての本質を捉えることはできませんが、この水準の作品をまだまだ量産できるのであれば、彼は芸人として売れなくなっても生きてゆけるでしょう。『陰日向に咲く』の印税で調子を良くした彼が再び筆を取ってくれることを期待しております。

ちなみに、作品の中で私の琴線に触れた作品は「拝啓。僕のアイドル様」「over run」の2作。叶わない想いがうまく描かれた、とても良い作品です。

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2006/05/10

『手紙』 東野圭吾

手紙 Book 手紙

著者:東野 圭吾
販売元:毎日新聞社
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毎月送られてくる獄中の兄からの手紙。

犯罪者の弟だという理由から、幾度となく人生の路線変更を迫られる。

果たして僕はこの現実とどう向き合えば良いのだろうか。

私の好きな作家の三指に入る東野圭吾氏の作品です。ブロ愚の記事ももう100になろうかというのに、未だに一冊も東野圭吾氏のレビューを書いていなかったことに驚愕。

この『手紙』はあらすじを読んだだけで憂鬱な気分になり、積読状態だった一冊。山田孝之くんで映画化とのニュースを読んで、ようやく読む気力が生まれました。昨日読んだ『少女には向かない職業』から続くひきこもりモードも要因のひとつかも。

「このミス2006」の大賞受賞インタビューで東野氏自身が「なにを読んだら良いか迷ったときに安心して手にとってもらえる“東野ブランド”のようなものを確立したい」というような趣旨のお話をしておりましたが、既に私にとって東野圭吾氏はその域に達しております。何かおもしろい作品を読みたいと思ったら東野圭吾。これは現在未来だけの話ではなくて、過去の作品であっても。東野氏の過去の作品を読んで時代を感じさせることはあっても、面白くなかったと感じさせる作品はありません。

東野氏の作品はジャンルも多種多様。『どちらかが彼女を殺した』のようなバリバリの本格系。『怪笑小説』のようなユーモア系。『あの頃ぼくらはアホでした』のようなエッセイ系。『秘密』や『トキオ』のような泣かせる系。『白夜行』のような社会派系。最後の社会派系だけは好みの問題で、私個人としては魅力を感じないのですがね…。とにかくどれを読ませたって一級品。こんなに多様なジャンルを書き分ける作家が東野圭吾の他にいるでしょうか?いや、いないさ。

今回のレビュー作品『手紙』は泣かせる系かと思いきや社会派系と、個人的にちょっと残念な読了なのですが、頁を捲る手をまったく止めさせなかったことがすごい。大きな山場が無い作品は大抵途中で間延びして、あくびのひとつもしてしまうところですが、この『手紙』は敢えて山場を作らず、山場ができそうになったら兄からの手紙で再び更地に直すという大技をやってのけたことで、逆にあくびをさせない構造になっておりました。(自分でも何が言いたいのか良くわからなくなってきました。とにかくすごい作品だったのだよ!)

『秘密』や『トキオ』を読んだときのように号泣したい気分だったのですが、それでも読んで損の無い一作でした。

山田孝之くんも『白夜行』よりは『手紙』の方がイメージに合っていると思います。映画化いまから楽しみです。きっと良い作品になると思います。

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2006/05/09

『少女には向かない職業』 桜庭一樹

少女には向かない職業 Book 少女には向かない職業

著者:桜庭 一樹
販売元:東京創元社
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「中学2年生の1年間で、人をふたり殺した。」

そんな強烈な帯に包まれた、少女たちの闘いの記録。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を読んだあと、ちょっと塞ぎ込みモードに陥ってしまったため、なんとなく避けていた桜庭一樹氏の『少女には向かない職業』をようやく読むことができました。映画化の話をどこかで読んだので(調べたら映画化じゃなくてドラマ化だった模様。しかもGyaOって…)、その前に読んでおかないと…という強迫観念が半分、いよいよ読む本が無くなってきたという現実が半分。

結果…良かったです。想像していたよりも良かった。ただし、塞ぎこみモードに突入しそうな気配ではあります。

読んでいてふと感じたのですが、私はこういった虐待とかいじめとか現実的な痛みに非常に弱い。ミステリにおける殺人事件は非日常非現実的。名探偵の登場なんて、その最たるものであって、たとえ本格ミステリの中で連続殺人事件が起ころうと私は痛くも痒くもないのですね。ただ、桜庭氏の作品はプチ現実的な痛みを読者に抱かせてくる…それが辛いのです。

健全な人間なら一度は考えるであろう「殺してやりたい」という感覚。これを実行に移すか移さないかで、本当に健全であるかそうでないかを量るバロメータになろうかと思いますが、この『少女には向かない職業』に登場するふたりはそのラインをふとしたきっかけで踏み外してしまう。

この踏み外した方が非常に痛々しくて、まさに転がり落ちてしまった感じ。終わり方があれで良かったのかどうか、未だに私自身の中で判別できていないのです。読者としての私の希望が「あのまま逃げて欲しかった」であるのに対し、人間としての私が「あぁ、良かったねぇ」と告げる。この浮遊感に戸惑っております。

なかなか考えさせる作品で、久しぶりに良いものを読んだ気がします。この落ち込みモード突入さえなければね…。

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2006/05/07

『6ステイン』 福井晴敏

6ステイン Book 6ステイン

著者:福井 晴敏
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

存在を秘匿された組織・市ヶ谷の命により暗躍する人々の6つの物語。

福井晴敏初短編集。

最近めっきり「名探偵コナン」で検索される比率の多い当ブロ愚ですが、れっきとしたミステリーレビューのブログです。最初にお断りしないと。トップページよりコナンページのアクセス数の方が多いなんて…ガクガクブルブル。

さて、私の愛して已まないDAISシリーズの番外編とも言える本短編集。愛して已まないのはDAISではなく如月行ではないのですか?というするどいツッコミにはスルー。

さて、本作に納められた6つの短編の中で最も私好みなのは「いまできる最善のこと」だったりします。こういったおじさんと生意気な子どもの図に限りなく弱い私。何度か目頭を熱くさせてくれました。福井氏の作品に欠かすことのできないおじさんの存在ですが、どのおじさんよりも好きかもしれませんね。ちなみに『亡国のイージス』の仙石さんにはあまり触手が動きませんでしたの。おほほ。そんな個人的萌えポイントを外すならば、状況区分E(=退職者)の目線で描かれる市ヶ谷とか境遇なんかが新鮮で良かった。市ヶ谷の全貌が未だ明らかになっていない中、スポットの場所を変えてやらないとね。

今回の短編集は「いまできる~」から収録順に私好みといって差し支えないかもしれませんね。ラストの「920を待ちながら」にはファン待望のあのお方(登場の時点で察しが付きまますよね。あからさまなファンサービスに感謝感謝)の登場がありましたが、それ以外はちょっと魅かれるところが無かったのが残念。しかし、あのお方は本当におじさん運があってよろしい。

福井氏の作品で次に読みたいなぁと思っているのが『C-blossom』です。正確に記すならば福井氏原作の少女漫画なのですが、表紙に描かれた如月行が私の妄想の中の彼を見事にマッチしております。映画『亡国のイージス』の勝地涼くんの髪型ではちと短すぎるというのが正直なところ。漫画とはいえ読了後にはレビューしたいと思います。

C-blossom (2)    KCデラックス Book C-blossom (2) KCデラックス

著者:霜月 かよ子,福井 晴敏
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

今回のレビューも結局『6ステイン』のレビューというよりも如月行のレビューになってしまいましたか。そろそろバリバリの本格でも読んで、ミステリ論でもぶちかましてみようかしら。

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2006/05/06

名探偵コナン「探偵たちの鎮魂歌」

名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌【初回生産限定盤】 DVD 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌【初回生産限定盤】

販売元:小学館
発売日:2006/12/13
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ようやく観ることができました♪

去る5月5日子どもの日、我が妹君を連れ名探偵コナン「探偵たちの鎮魂歌」を観てまいりました。妹君とスープカレーを食して向かった映画館には…

子ども!子ども!!子ども!!!

独りで来なくて良かった…と本気で思いました。子どもの日の意味を実感した瞬間。果たして理解できるのか?という幼稚園児や、無理矢理連れて来られました感満載のお父様方といっしょに手に汗握る2時間を過ごしてまいりました。

しっかし、子どもというのは正直者ですね。キッド様が登場されれば「怪盗キッドだぁ!」と叫び、コナンがピンチに陥れば「コナン頑張れ!」ですよ。非常に微笑ましい光景なのですが、小学生くらいの男の子が幼稚園児くらいの女の子に「うるさい!」と注意されたのにはつい笑ってしまいました。

さて、ネタバレです!ここからはおもいっきり本編の内容に触れますので、まだ御覧になっていらっしゃらない方はくれぐれもスクロールされませんように。

まず、10周年記念作品に相応しい豪華キャストの共演に触れずにはいられません。これでもか!これでもか!と畳み掛けるように全キャラ登場。ちょい役で登場の場合、かならずなんらかの笑いをとってくれるんですねぇ。大滝はんなんて、なかなかおいしいです。

笑いといえば、ひったくり犯を佐藤刑事がバックドロップで逮捕する場面で、子どもたちが「イナバウアーだぁ!」と叫んだのには笑かしてもらいました。子どもの発想力って豊かね。

そして、肝心の推理パートですが、謎の黒幕VS探偵たちという構図がうまく出来上がっていたと思います。毛利のおじさんが目暮警部に食ってかかってメモを渡す部分なんて、胸がどきゅんとしてしまいました。毛利のおじさんといえば、英里に弱音を吐くところも良かったですよねぇ。かなり株を上げました、毛利小五郎。

そうそう、語らずにはいられないのがコナン&平次&白馬の高校生探偵夢の競演です。まぁ、私的には白馬ぼっちゃまのスウェットのようなお姿にがっかりしてしまったのですが…。パリッとスーツあたりを着こなして登場してください、白馬ぼっちゃま。そうそう、白馬ぼっちゃまの人質は「バアヤに違ぇねぇ!」と思ったそこの貴方は同志です。しかし、白馬ぼっちゃまの石田ボイスにはいつもいつもクラっとさせられますね。妹君の横で独り身悶えしておりました。くそう、スウェット姿でなければ…。

そして、怪盗キッドさま☆今回のキッド様はいつにも増してかっこいい!いつものキザ口調で自分を狙った奴等を罠に嵌め、マシンガンをぶっ放すキッド。たまらん!はぁはぁはぁ。そして、元太のIDをジェットコースターから取り除き、コナンたちの命を助けるキッド様。最後までやってくれますね!園子のIDを使っていたのが白馬さま=キッド様という図式で、高校生探偵夢の競演の舞台にいたのがキッド様であるということが判る仕組みになっておりますが、そこまであからさまに描かれていないので、子どもたちには全く理解できていないでしょうね…。

そうそう、元太のIDで思い出したのですが、「動くと死ぬわよ!」の超ド迫力哀ちゃんが今回の功労賞。コナンが哀ちゃんにだけIDの秘密を告白し、皆の命を哀ちゃんに任せて、自分は推理に専念するという構図に萌え。いやぁ、哀ちゃん好きです。今回の「ずっと側にいてくれる?」と見事に甘えてみせたその姿といい、彼女は本当に良い女です。

今回は新一と蘭の余計な恋愛模様が無かったので、苛々せずに安心して最後まで観る事ができました。もういいよ、新一と蘭は…。

妹といっしょでなければ、続けてもう一回観たことでしょう。何度観ても楽しめる作品だと思います。来年の映画公開前のテレビ放送がいまから楽しみです☆まだ、御覧になっていない方は是非、映画館で御覧くださいませ。

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2006/05/03

『六番目の小夜子』 恩田陸

六番目の小夜子 Book 六番目の小夜子

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

3年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が見えざる手によって選ばれる。

今年は「六番目のサヨコ」が選ばれる年。

サヨコ伝承と、淡い青春時代を綴った恩田陸の代表作。

いまや宮部みゆき氏と肩を並べる大女流作家の恩田陸氏ですが、実は恩田氏の作品を読むのはこれが2作目です。1作目が『MAZE』だったのですが、あの不条理ラストに納得がゆかずに避けておりました。今回再チャレンジしようと思ったのは半年くらい前に『六番目の小夜子』のドラマ再放送を見かけて、これだけ有名な作品なのに読んでないとは読書家の名が廃る!と思ったからです。あとは山田孝之くんが若くて可愛かったからです…。

さて、ドラマでは舞台は中学校でしたが、原作の舞台は高校なのですね。高3独特の受験を控えた微妙な距離間とサヨコ登場の違和感がうまいことマッチしていて、良かったです。中学生にサヨコをやらせるのは荷が重過ぎると思うよ…。

しかし、ドラマは随分と豪華キャスティングですこと(ドラマ版公式HP)。鈴木杏ちゃんに山田孝之くん、栗山千秋ちゃん(の小夜子はまさにはまり役だと思います)に勝地涼くんまで。鈴木杏ちゃんの役はドラマオリジナルのようですし、山田孝之くんの設定も原作とは違っちゃってますね。原作の関根秋は私のド好みです。

肝心の原作感想ですが、本作も『MAZE』同様、ラストに消化不良感が否めません。これはミステリ好きの私の趣向に起因するものなのでしょうが、謎が謎のまま残されることが苦手。いや、読者にとっての謎はきちんと解明されているのですが、登場人物たちがサヨコ伝承を謎のまま残し、未来永劫続けて行くというホラーさにそら恐ろしいものを感じます。ドラマでは杏ちゃんが○○をこれでもか!と言わんばかりに問い詰めていたように記憶しておりますが、そちらの方がしっくりくるというものです。

恩田氏の作品はまだまだ2作目で、全く未知の領域と言わざるを得ませんが、すべての作品がこの調子ってことは…ありませんよね?皆様のオススメ恩田作品があれば是非教えてくださいませ。出来れば不条理ホラーではなく、快刀乱麻に謎を解く!みたいな作品を是非。よろしくお願いいたします。

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『名探偵症候群』 船越百恵

名探偵症候群 Book 名探偵症候群

著者:船越 百恵
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

悪友の結婚パーティに招待され、四面楚歌の茅乃が採った奥の手とは“エスコートサービス”

派遣されてきた刑部芯は超絶美形であったが、もしかしたら超絶殺人鬼でもあるかもしれない。

嵐の山荘で起こった連続殺人事件。

船越百恵氏は石持浅海氏東川篤哉氏を輩出したKAPPA-ONE登龍門出身のミステリ作家です。私はデビュー作の『眼球蒐集家』は未だ読めていないのですが、本作を読む限り東川篤哉氏の女性版?と思わせる作風でございました。

ユーモア…というか三十路女の自虐ギャグと言いますか。主にそれらで埋め尽くされ、肝心の謎解き部分がおざなりになっているように感じました。いや、謎解きに必要な情報は全て出揃っているのかもしれませんが、如何せん三十路女がゴシップとして仕入れてきた情報を良い様に解釈して、神々しきご信託を待たんばかりの推理方法はどうかと思います。

名探偵が皆を集めて…の場面で多くの?を残して強引に犯人に自白させ、後になってわかった情報を次の章で披露するっていうのはどうでしょうか。不満。

それに、帯に「わたしの彼は、殺人鬼なのでしょうか!?」とでかでかと書いてあるわりに、茅乃が刑部を殺人鬼かもしれないと疑う場面が物語も佳境に差し掛かるまで登場しない。それまでは三十路女の意地っぱり具合ばかりが描かれていて、ちょっと意気消沈。

殺人の起こる舞台と、謎のエスコートサービスという良い素材があるのだから、もうちょっとミステリミステリして欲しかったものです。

ただ、三十路女と謎のエスコートサービスが吊り橋効果であっという間に良い仲になるという安直な結末でなかったっことが救い。そんな結末だったら、読了後本を投げつけてやるところですよ。

蛇足ですが、所用で外出した際にちょっと時間があったのでcafeに入ったのですが、そのcafeの名が「かやの茶屋」でございました。ちょっとした偶然です。

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『月読』 太田忠司

月読(つくよみ) Book 月読(つくよみ)

著者:太田 忠司
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

死者の残した「月導」を読むのが月読の定め。

月読は月導を読むかのごとく起こった殺人事件を読むことができるのだろうか。

そして、失われた自らの過去を取り戻すことはできるのであろうか?

「月導」に「月読」、その設定に萌え。

いやぁ、こういう幻想的な世界観って好きです。死者がこの世に残す「月導」は、最後に強く想っていたことが具現化されたもの。しかし、その「月導」に残された想いを読むことができるのは選ばれし「月読」のみ。しかし、「月読」として生を受けたからといって幸せが待っているわけではなく…。

「月読」として生まれたため家族と引き離されることとなった朔夜と、親族を殺され朔夜のその不思議な力に頼るしかない刑事・河井。そして、自らの未来と出生に悩む若人たち。

口絵のイラストのせいか、皆皆様が美形に変換されて、幻想的な世界に拍車をかけております。

ミステリとしても、すべての事件がしっかりと回収されて、きちんとひとつに繋がっております。これが片手落ちになるようであったら興ざめなのですが、そこは太田氏。かなり厚めの本書ですが、それを感じさせない太田氏特有の作風で、満足のゆく一冊となっております。視点が章毎に入れ替わるのにも違和感を感じさせないので、無理なく読むことが出来ました。

まぁ、なによりもその世界感にうっとりなのですが。

太田氏の作品といえば「狩野俊介シリーズ」や「新宿少年探偵団シリーズ」のような低年齢層が主役のシリーズが有名ですが、本書のような作品を読むと上記のようなシリーズがあるからこそ流れるようなさらっとした作風が描けているのだと感じます。

また「月読」を主人公にした作品が読みたいですね。太田先生、是非シリーズ化をお願いいたします。

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2006/05/01

名探偵コナン「コナンVS怪盗キッド」

GWスペシャルと題して、あの!あのっ!名勝負が再び!

小さな名探偵・江戸川コナンがあの月下の貴公子・怪盗キッドと初対決するのがこの「コナンVS怪盗キッド」です。

もう2週間くらい前から楽しみで楽しみで楽しみで!

いやぁ、やっぱりキッドはすんばらしいねぇ。最初は「泥棒になんて興味ねぇ」とおっしゃっていたコナン君ですが、いまじゃすっかりキッドの虜ですよ。最高の好敵手です。

いやぁ、キッドが茶木警視や中森警部の声色を変声機無しで使い分ける様を見た時のコナンの驚きようといったら。コナンはあれでキッドに惚れたね。好敵手に対して「すごい」って言っちゃってるもの。相手を認めることこそライバルの第一歩。

そしてキッド様の名台詞がコレです。「怪盗はあざやかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが…探偵はその跡を見てなんくせつける、ただの批評家にすぎねーんだせ?」

コレです!

コレを甘めの山口ボイスでやられたらメロメロです。そして、この言葉を否定しようとする新一(コナンではない)にもメロメロ。全否定されちゃってますものね、探偵像が。

とにかく、二人の最初の対決としてはいろんな要素が詰め込まれすぎていて、お姉さんお腹一杯です。もう満足。今回はきちんとビデオ録画できたし。これでエンドレスで対決が見れる…今晩の子守唄はこれで決まりだね☆

と、こんなにもコナンフィーバーがきているのに、未だ「探偵たちの鎮魂歌」を鑑賞しに行けておりません。愛しの白馬様がサンデー誌上に先駆けてコナン&平次と共同戦線を張っているとの噂は本当なのでしょうか?それだけでもう観に行く価値充分!って感じですよね。

GWのうちに観に行けると良いなぁ。鑑賞してまいりました!ネタバレたっぷりのレビューはこちらから。

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『安楽椅子探偵アーチー』 松尾由美

安楽椅子探偵アーチー Book 安楽椅子探偵アーチー

著者:松尾 由美
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

11回目の誕生日にぼくが出逢った不思議な安楽椅子アーチー。

アーチーの2番目の持ち主と、アーチー誕生の秘密に11歳のぼくが挑む。

ぼくとアーチーの不思議な友情物語。

図書館に行ってなんとなく目が留まった一冊。もちろん理由はそのタイトルにあります。安楽椅子探偵の代表といえばアガサ・クリスティの生み出したミス・マープルが有名ですが、そんなにそんなに殺人事件に巻き込まれるわけないじゃない!というごもっとも!なツッコミをこの安楽椅子探偵ものは解決してくれるところが好きです。それに、いつかは自分もやれるかもしれないじゃない?

さて、本作はただの安楽椅子ものではございません。何故って?それは安楽椅子自身が安楽椅子探偵をやってのけるのです。ん?わかりづらいって?つまり安楽椅子が人格を持っていて、人間の言葉を操ったり、視覚や聴覚を持ち合わせているのです。もちろんみかけは普通のアンティーク椅子ですので、自ら動いたりなんてことはできません。

この椅子はアンティークもので、生を受けて60年以上の時が経っているため、多くの知識を持ち合わせています。その知識を総動員させて、謎に挑む…まさに安楽椅子探偵!

肝心のミステリ部分は主人公のぼくが小学生ということもあって、殺人事件とはいかずに日常の謎を解くというものになっていますが、最大の謎はアーチー(安楽椅子のことです)が意思を持つきっかけとなった2番目の持ち主の行方を捜すことです。

この持ち主捜しに主人公のぼくは躍起になって取り組むわけですが、賢い主人公はその捜索が終わればアーチーと別れることになってしまうということを知っているのですね。そこがなんとも切なくて、友情物語と最初に紹介した理由はここにあります。

ちょっと謎解きが説明くさくて、ちょっとうんざりしてしまう箇所もありましたが、設定とその友情に負けて全体の評価は上々!ちょっと変わった探偵ものが読みたい方は是非。

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