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2006/04/08

『びっくり館の殺人』 綾辻行人

びっくり館の殺人 Book びっくり館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
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かの有名建築家・中村青司が建築したびっくり館。

必然のようにびっくり館で巻き起こる密室殺人事件。

かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド第9回配本。

お久しぶりっこ、御館様。

私は綾辻氏の「館シリーズ」を敬意をこめてこう呼びます。「御館様」と。

さて、ミステリーランドなのに正統な館シリーズ8作目となる本作。『暗黒館の殺人』の物理的にも心理的にもずっしりとした感じから離れて、『人形館の殺人』のようなシリーズ異色作に仕上がっております。

(ここから純粋に読了後の感想を書きます。当然ネタにも触れます。ご注意ください)

まず、本作は本格の骨子は残しつつあくまでも本格では無い、と。言うなればクリスティの『アクロイド殺し』でしょうか。ピンとくる人にはピンとくる記述があるので、ピンときた人にはトリックも犯人もピンとくるようになってます。この手のトリックは私は嫌いではないのですが、ちょっとあからさまかもしれませんね…。

あとは、名探偵の不在でしょうか。お馴染みの鹿谷氏が本作にも登場しますが、その登場の仕方がにくい。私個人的な本格論では名探偵が快刀乱麻に謎を解くというのがセオリーなので、その意味でも本格では無いとの結論。

あとは読み終わったあとの夢見の悪い感じ。これは麻耶雄嵩氏の『神様ゲーム』で感じた感覚に近いですね。ミステリーランドはその性質上、不条理で狂気を孕んだ謎をどこかに残しておかなくてはならないのでしょうか。その方が現在少年少女である彼らに残す物が大きいかもしれませんね。

最後に『虚無への供物』へのオマージュ。『虚無~』を読んだことのあるミステリファンならにやっとしそうな設定がいくつかありましたね。こういったかつて少年少女だったあなたに対するサービスが好きです。

次回の「館シリーズ」がいまから本当に楽しみ。お願いしますよ、御館様!!

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コメント

こんにちは。パッとしないけれど結構好きでした、これ。『虚無への供物』のオマージュとは。今、積読本にあるんですが読む順を逆にすれば良かった。。既読だったらもっと楽しめたのかもしれないですねー。

投稿: ソラチ | 2006/09/12 13:22

☆ソラチさん☆
正当な館シリーズと云われると、ちょっとパッとしないかもしれないですね。『びっくり館』は表紙・挿絵がとにかく怖くて。トリックというか、おじいちゃんがとにかく怖くて。思い出すと未だにぞくっとします。
『虚無』が積読本に入っているのですか!ソラチさんの『虚無』レビューを楽しみにしております。4大ミステリの中では、一番取っつき易くて好きです~。

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/09/13 00:16

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