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2006/04/02

『「ギロチン城」殺人事件』 北川猛邦

『ギロチン城』殺人事件 Book 『ギロチン城』殺人事件

著者:北山 猛邦
販売元:講談社
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人形から送られた「help」の謎を解くために探偵たちが向かったのは『ギロチン城』。

『ギロチン城』で探偵たちを待ち受ける密室連続殺人事件とは?

北川猛邦が送る『城』シリーズ第四弾。

皆さんは大掛かりな物理トリックと小さな物理トリックどちらが好きですか?

最近読んだ中では東川篤哉氏の『館島』が大掛かりトリックに分類されますが、大掛かりトリックの第一人者といえば島田荘司氏の『斜め屋敷の犯罪』になるのでしょうか?館(城)そのものが物理トリックを成立させるためだけに建設されたというアレですが、私はこの大掛かりトリックというのが苦手です。

その存在自体に非常に嘘くさいものを感じてしまうのですね。えてして「金持ちの道楽」で片付けられてしまう大掛かりトリックですが、そこには「犯人が一生懸命考えました!」というミステリの醍醐味が失われてしまっているような気がして。

そう言いつつも綾辻行人氏の『館』シリーズは大好きだったりするのですが。

ここに存在する差は何なのでしょう?作者の筆力の差?そこに存在する大掛かりトリックの蓋然性を筆力でどれだけ納得させることが出来るか。

北川氏の作品を読むと、いつもその蓋然性に悩まされるのです。

(ここから激しくネタバレします。ここまではネタバレではないのかというツッコミは心の中にしまってくださいませ。ちなみに前作『アリス・ミラー城』の犯人にも触れます)さて、今回の『ギロチン城』にも叙述トリックが出てまいりましたね。

はっきり申し上げると、私は北川氏の仕掛ける叙述トリックが嫌いです。叙述トリックの醍醐味である「指摘されたときにハッとする感覚」「思わずページを遡ってしまう感覚」が無いのですね。非常にアンフェアに感じてしまうのです。

今回も「は?そんな記述隠してあったか?」と憤りながらページを遡りましたが、確認してもやっぱりアンフェア。巧妙ってどういう意味の言葉だっけ?と。

前作の『アリス・ミラー城』ではこの感覚が顕著で、アリスの存在は最初から記述しているにも関わらず、登場人物が意図的にアリスの存在を隠している。作品の中頃で「アリスが犯人だ!(アリスが逃げた!でしたか?)」と登場人物がはっきりと断言しているにも関わらず、そのあたりをすっかり無視しているのですね。

この『アリス・ミラー城』のアリス不在トリックには最初の最初の記述で気がついて、不在を認識しながら読み進めたので、私が受けたこの感覚は間違っていないはず。

とにかく、『アリス・ミラー城』から北川氏の仕掛ける叙述トリックに嫌悪感を感じてしまって仕方がないのです。ファンの方、申し訳ない。

ということで不満の残る一冊ではありましたが、北川氏の作品で私が常に高評価しているのはその設定と世界観です。『瑠璃城』なんて最高じゃないですか。今回の『ギロチン城』もその世界観には圧倒されました。

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※2006年03月28日に読みました いやはや、スプラッタぶりには背筋が凍るものがありましたが、その衝撃を忘れるほどのアレにおどろき。本格ミステリとしての濃度高いですな。 でも、 [続きを読む]

受信: 2006/06/04 19:54

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