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2006/03/13

『水の時計』 初野晴

水の時計 Book 水の時計

著者:初野 晴
販売元:角川書店
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医学的には脳死と判断されていながらも、特殊な装置によって生かされている少女。

月明かりの下、装置からもれる彼女の本当の望みとは。

第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

装丁の美しさとタイトルの響きに惹かれて読んでみました。

横溝正史の名を冠するミステリ大賞にも関わらず、ミステリミステリしてはいませんが、その筆力は圧巻。

脳死状態の彼女の望みを叶える少年の動きが、途中からバッサリと消えてなくなってしまうのが残念。途中から視点が入れ替わり、いくつかのショートストーリーが展開しますが、ちょっぶつ切り感がありました。行間を読めってことですかね。私の一番苦手な作業だ。

ただ、うまく行間をつかんで、隠されている(描かれていない)ストーリーを想像して補うならば、素晴らしい感動が詰まっております。

こういう切ない話は好きです。

途中から横溝正史ミステリ大賞受賞作だなんてことは、すっかり頭から消えてしまいました。どういう趣旨の作品賞であるかなんて、関係ないくらい良い作品。なんとしても受賞させなくてはならないと感じる作品。

また、『幸福の王子』との結び付けが最高なんですよ。あの『幸福の王子』の記述があるからこそ、あのラストでも納得することができるんですよね。

もうちょっと少年の内面が描かれていれば、もうちょっと少年の動きが描かれていれば、きっと号泣したことでしょう。それが本当に残念。

初野氏の他の作品を是非読んでみたいなぁと思いました。

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