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2006/03/05

『チルドレン』 伊坂幸太郎

チルドレン Book チルドレン

著者:伊坂 幸太郎
販売元:講談社
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ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。(帯より)

第131回直木賞候補作。

いつもは帯や作品紹介文を読んで内容紹介は自作するのですが、今回はちょっと困ってしまいました。「短編集のふりをした長編小説」というのは伊坂氏御本人談なのですが、どうも良い内容紹介が思い浮かばない。五つの短編により構成されているのですが、視点の変更はあるものの、どの作品にもとある人物が登場し、ちょっとしたキーパーソンとなってきます。

そのキーパーソンが破天荒・陣内。

まずちょっと尋常ではない思考力の持ち主。それが意図的であるのか無意図なのかは別として。その陣内の巻き起こす騒動が主軸かと思いきや、ちょっとしたミステリテイストに落ち着く、それが本作です。

語彙が私に不足しているのも原因ですが、本作は紹介できるような主題となる内容が無いのですよ。どれもちょっとした奇跡(?)について描かれていて、読んでいてちょっと爽快になる。この“ちょっと”というのが肝心。

伊坂氏の作品はどっしりとした不思議な主題が用意されているか(『オーデュボンの祈り』『ラッシュライフ』など)、本作のようにさらりとやってのけるかのどちらかですね。個人的には後者の方が好みです。よって『チルドレン』はなかなかの好印象。

でも、印象に残りづらいのが難点。3年後にこの作品についてどれだけ思いだせるか…自信ありません。

描かれてる短編のひとつ「バンク」は『陽気なギャングが地球を回す』を容易に想像できてしまうのが(この短編が元ネタかもしれませんが)ちょっと残念。『陽気な~』を最近読んだばかりなのが原因かもしれませんが、同じ作家にこれをやられてしまうともう消化不良です。

ただ、永瀬の見えないからこそ見えるもの、感じるものから推理を組み立てる手法というのは感心。

ミステリテイストといってもどれもちょっとしたものなのですが、そのポイントの押さえ方はさすが直木賞候補作といった感じでしょうか。飛躍の仕方も想定の範囲内。無難です。

ちょっとした時にちょっと読んでみたいちょっとした一作でした。

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