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2006/03/30

『水の迷宮』 石持浅海

水の迷宮 Book 水の迷宮

著者:石持 浅海
販売元:光文社
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水族館に送られてくる脅迫メール。

果たして脅迫を仕掛けているのは誰なのか?そして脅迫者の真意は?

そこから浮かび上がる過去の事件の真相とは?

水族館に行きたくなりました。

この作品は石持氏お得意の閉鎖空間で起こった事件と、そこに渦巻く人間の感情や感傷が主題として描かれています。

水族館という舞台設定を最初にこのストーリーを考えたのか、ストーリーを元に舞台を水族館に設定したのか。もし後者なら石持氏天才ですよ。水族館の描き方、魅せ方が巧い。そこで冒頭の言葉なのです。

しかし、いくつか感情的に納得の行かない部分があるのですね…(ここから激しくネタバレします。この警告文も久しぶり)

まず、ミステリにおいて犯人が捕まることなく、登場人物たちもそれを容認するという結末に喝!

犯人が特定されているのにですよ?グレーではなく、犯人自ら自白しているのにですよ?有り得ない…。いくら犯人がこれからの水族館にとって必要な人物だったとしても、その人間と以後心を交わして、心から犯人を信じて仕事をしてゆくことってできるでしょうか?少なくとも私には無理。

仮想の世界に限らず、罪を犯した人間は法によって裁かれなくてはならないと私は考えます。それは罪を犯した本人にとって一番良いことなのではないでしょうか?法に裁かれることによって、その人間はもう後ろめたい思いをしなくてよくなると私は考えます。

つまり、犯人が裁かれない=犯人はいつまでたっても許されないという方式が成り立つのですね。それって本人にとって良いことなのでしょうか?いくらその後の水族館の発展に貢献したとしても、それが罪滅ぼしになるのでしょうか?

石持氏もそのあたりのことは考慮して、あの結末になったのでしょうが、私個人的にどうも納得のゆかない箇所なのです。

あとはこれも石持氏特有の探偵の論理の飛躍。もちろん無理のない程度ではあるのですが、どうしてそれが唯一の解答となり得る?という場面で、探偵が断言してしまうのですね。その他の箇所ではことごとく可能性を潰して描いているのに。ここも非常に気になりました。

それでも読んでいて、何度か胸を熱くさせる場面に出会いました。ミステリとしては納得のゆかない部分もあるけれど、良い作品だったなぁと感じます。

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投稿: 藍色 | 2009/10/08 16:45

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