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2006/03/11

『BG、あるいは死せるカイニス』 石持浅海

BG、あるいは死せるカイニス Book BG、あるいは死せるカイニス

著者:石持 浅海
販売元:東京創元社
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男性化候補筆頭で誰からも好かれていた姉が死んだ。

特異な世界を舞台に描かれる特異なミステリ。

『扉は閉ざされたまま』で脚光を浴びた石持浅海渾身の一作。

男性化候補筆頭なんて言葉をいきなり読まされても…とお思いの貴方!わかりますよ、その気持ち。でも、この『BG、あるいは死せるカイニス』を是非お読みください。

舞台となる世界は女性しか生まれてこないパラレルな日本。この世界では優秀な女性がある時期を経て自然と性転換を男性となります。もうその設定だけで、なんじゃこりぁ。

ただ、事件の動機がまさにその世界観を根底として作られているので、否応無くその世界観にのめり込まされます(アァ、ニホンゴムズカシイネ)。好き嫌いは分かれるでしょうが、私はこういうパラレルな設定好きですね。

だって、創作の中で無ければ出会えないじゃないですか。

この設定を受け入れられるのは男性より女性が多いのではないかと考えます。男性になってみたいと思ったことのある女性って多いと思うのですよ。それに、パラレルに対する許容度って女性の方が広いでしょ?

例えば戦国時代好きって圧倒的に男性の方が多いですが、三国志好きってことになると半々くらいの確率ではないかと。三国志にまで遡ってしまうと、もうファンタジーなんですよね。現存する文献が少ないため、伝説が入り込む余地が多すぎて。そのあたりが嫌いな男性って結構多いと思うのですが。かくいう私も戦国より三国志の方が好きです。

さて、脱線した話題を元に戻しましょうか。

ミステリとしてはまぁまぁ納得のゆく出来上がりかと。ただ、論理の筋道があくまでも動機をベースにしているため、世界観に納得できない場合はミステリ自体にも納得できないでしょうね。

動機をベースにした作品というのは、その動機に納得できるか否かにすべてがかかっているため、リスクが大きいと感じます。同じく浅持氏の『扉は閉ざされたまま』だって、登場人物ふたりの理論的なやり取りには好感持てますが、動機の面では不満を感じてしまいましたもの。その立場に陥ったものでないと感じることの出来ない感情を動機と位置づけてしまうのは作品の成立にとって大きな障害。『扉は~』はもちろん上質なミステリだと思っておりますが。

浅海氏の作品は動機を主題とした作品が多いため(『月の扉』なんかもそうですかね)読む読者を選ぶかもしれませんね。『アイルランドの薔薇』はトリック重視かと思いますが、根底に流れるテーマが難しいし。

これからが楽しみな作家さんのお一人であることは変わりありませんが。

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