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2006/02/24

『殺人ピエロの孤島同窓会』 水田美意子

殺人ピエロの孤島同窓会 Book 殺人ピエロの孤島同窓会

著者:水田 美意子
販売元:宝島社
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避難勧告の出された孤島に彼らは同窓会のため戻ってきた。

そこに登場した殺人ピエロ。殺人ピエロに魔の手にクラスメイトたちが落ちてゆく。

驚異の12歳が描く連続殺人ミステリ。

まんまと出版業界の策略に乗ってしまいました。

言いたいことが山の様にあるのですが、まずは作品の感想から。

解説で大森望氏がこの作品は『バトロワ』を下敷きに書かれたものではないとおっしゃっておりましたが、どう読んだって『バトロワ』としか読めません。しかも、同級生一人ひとりの個性が充分に描かれていないため、彼らが殺人ピエロの手に次々と落ちてゆくのに、どんな気持ちも生まれてこないんですね。ただのカウントダウンでしかない。その点、やはり『バトロワ』は巧みだったなぁと再認識。

さて、肝心のミステリの本質部分ですが、12歳の作品なら満足、普通の作家の作品ならそんな使い古された手を…と肩を落とすところ。容易にトリックが読めるし、最近のミステリで重視される犯人の意外性もありません。落ちることろに落ちるべくして落ちた感じ。

ときどき登場するバーチャルな会話も、思ったほどの意味や効果がなかったし。

ただ、その成熟と知識と挑戦には拍手。「三セク」なんて言葉がすらっと出てくる12歳なんてまさに驚異。私だって「三セク」をきちんと解説しろって言われたら「出来ません」って即答するよ。私が12歳だったころなんて、まだジュブナイルのホームズやらルパンやらしか読んでいませんでしたもの。ドイルもクリスティもクイーンもカーもまだ知らなかったお年頃です。

まさに「このミス大賞」での品評通り、12歳という作者の年齢を勘案しなければ、出版するには及ばない作品だと思います。15歳なら不可。手厳しい言葉かもしれませんが、それはきちんとこの本を購入した人間なら行って良い行為だと思いますので。

12歳という枕詞がこの作品には付きまとうのでしょう。褒めるのも批評するのもまずは12歳という言葉が付いて回る。それが彼女にとって幸か不幸か。これからの彼女の成長に大きな期待を寄せつつレビューを締めたいと思います。

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» 「殺人ピエロの孤島同窓会」 [ば○こう○ちの納得いかないコーナー]
「殺人ピエロの孤島同窓会」を読破。この作品、ミステリー・ファンの間では結構話題になっている。と言うのも、作者の水田美意子さん、否、水田美意子ちゃんと書いた方が相応しい様にも思うのだが、彼女が第4回「このミステリーがすごい!大賞」(略称: このミス大賞)の特別奨励賞を受賞したこの作品を応募した時は12歳の中学1年生だったからだ。 若者の活字離れがずっと指摘されて来ていたが、近年、10代で文学賞を受賞する者がチラホラ出て来てい... [続きを読む]

受信: 2006/04/17 00:38

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