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2006/01/29

『愚者のエンドロール』 米澤穂信

愚者のエンドロール Book 愚者のエンドロール

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
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“省エネ”をモットーとする高校生・折木奉太郎が活躍する古典部シリーズの第2弾。

文化祭に出展するために撮影された自主製作映画の結末を見つけ出すため、古典部メンバーにジャッジ役が依頼された。

果たして奉太郎は正しい結末に辿り着くことができるのか!?

『このミス2006』に見事ランクインし、掲載されたインタビューを読んで興味を持って読んでみました、米澤穂信氏。

この『愚者のエンドロール』は『氷菓』に続く古典部シリーズの第2弾です。

両作品読みましたが、『愚者~』の方がミステリ的要素が満載という理由で、こちらのレビューを。

さて、ここからが感想です。(たっぷり核心に触れます。ミステリ好きなら結末が読めてしまいますのでご注意ください)

まず、米澤氏はあとがきで何も書かれていませんが、これは綾辻行人氏へのオマージュですか?ってくらいに綾辻要素がたっぷりです。

まず、奉太郎が導き出す結末が綾辻氏が考え出した、あの有名な結末と同じ。この結末で書かれたミステリミニドラマを、本家のものを含めて私は2回見ました。

私はこの結末、すごく好きですね。

読者であり、試聴者がミステリの場に引っ張り出される快感と恐怖感。

そして、事件の舞台である劇場の設計者が、かの有名な「中村青○」。○の部分は文字がかすれてしまって見えないけれど、これだけで充分あの御方を示唆しております。

まさか本家のように隠し部屋とか隠し通路が出てくるのか!と思いきや、今回の事件にはそのようなものは出てまいりません。もし、この現場に私がいて、映画の結末を予想してくれ!と言われたら、この隠し○○を使った結末に飛びつくでしょう。

『○○館の殺人』を片手に熱弁をふるう私。容易に想像が出来るわ。

さて、肝心の感想ですが、最近はこの手の「人が死なない日常ミステリ」が好まれているのでしょうか?

ばったばった人が殺される連続殺人ものも、トリック重視の本格ものも、ほんわか日常ミステリものも、私はどれも好きなので楽しく読めるのですが、一般の方は「朝から電車の中で、血なまぐさい人殺しの話なんて読みたくねーよ!」とお思いになるのでしょう。

それに、この作品はいわゆるライトノベルものに分類されるようなので、青少年に血みどろどろどろの作品は…という配慮なのでしょうか。

まぁ、私のように「ミステリに登場するならどんな役が良いですか?」という質問に、「探偵!」と即答する人間は少ないでしょうから、「もしかしたら私たちに周りにも、こんなミステリが散りばめられているかもしれない」とさらっと考えさせる作品の方が、人に与える影響力は大きいのかもしれませんね。

それこそが、エンターテイメントなのでしょう。

米澤氏の最新作である『犬はどこだ』は、米澤氏がこのテイストから抜け出した作品ということですので、大いに楽しみな一作です。

最後に、米澤氏もあとがきで触れていらっしゃいますが、この『愚者~』と同テーマの作品には我孫子武丸氏の『探偵映画』という一作があります。

『愚者~』を気に入った方は是非読んでみてください。私も『探偵映画』大好きです。

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