2018/10/14

『棲月 隠蔽捜査7』 今野敏

シリーズ第7弾?第9弾?

事件はとんとん拍子で進むので物足りなく感じるが(以下ネタバレ:ハッカーがSNSを乗っ取って云々はわかるが、サーバー攻撃との関連がご都合展開に思える)大森署長になってからの竜崎が培ってきたすべての集大成といった1冊。戸高や根岸を始めとする大森署員との信頼関係あふれる描写が本当によかった。

辞令が出て狼狽する竜崎を可愛らしく思えるのはシリーズをここまで追いかけてきた読者の特権。家族、特に妻である冴子とのやりとりもいい。シリーズ当初、この夫婦にここまでの安定感はなかったはず。

神奈川県警刑事部長となる竜崎をどんな事件が待ち受けているのか。警視庁をライバル視する部下たちを正論でバッタバッタと切り倒し、伊丹と共同戦線を張る未来が見える見える。続きが気になる良シリーズ。これからも期待しています。

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2018/10/13

『十二大戦対十二大戦』 西尾維新

『十二大戦』続編…ではなく、ハンドレッド・クリックで示された十二大戦の新たなルート。あったかもしれない十二大戦。つまり100冊出せるってことですね。

25人のキャラを活かすにはページ数が足りない。前回のルートで早々に脱落した面々が活躍してくれたのは嬉しいけれど、推しの活躍もやっぱり読みたい。申と猪は良かったけれども。うーん、バトル物としてもキャラカタログとしてもいまひとつ。

個人的には某漫画の影響でネタ化している蟹が格好良かったのが良かった(私はかに座ではありません)

中村光の表紙絵は今回も素敵、さすが。

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2018/10/09

『友罪』 薬丸岳

少年犯罪ものと言えば薬丸岳がすっかり定着しましたね。映画も未鑑賞です。

重たい内容でしたが、読み始めたら止まらなくなりました。登場人物それぞれがとった行動についての是非を語るつもりはありませんし、自分がその立場になったとしてもどうするのが正解なのかなんてわからないと思います。登場人物全員の気持ちがわかる。わからない部分があっても、わかる部分もある。殺人を犯した青柳少年の気持ちはわからないけれど、鈴木の気持ちには頷ける部分もある。

考えさせられる1冊。重苦しい作品ですが、読了はわりと爽やかです。

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2018/10/08

『長い家の殺人』 歌野晶午

歌野晶午のデビュー作。

トリックが分かり易すぎる。ミステリを多少読み慣れた人なら最初の略図だけでトリックがわかってしまうかもしれない。某ゲームでも同様のトリックが使われていましたが、いつも思うのは数を数える癖のある人がいっしょでなくて良かったということ。犀川先生とか。

警察の描写がとにかく古いなど突っ込みどころは多いが、新本格らしい意欲作だとは思う。

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2018/10/07

『『アリス・ミラー城』殺人事件』 北山猛邦


(全面的にネタバレしています)
再読。私は叙述トリックが大好きで、大抵の作品は前のめりで絶賛するのですが、この作品はアンフェアだと考えています。

作者のやりたいことはわかります。アリスという人物がいないものと(読者に)誤認させる。一部ではその思惑は成功していると言えます。でも、やはり違和感のある部分が多すぎる。

窓端が殺された事件で、海上が「事件現場でアリスを見た」という重要な発言をしているのに皆が皆、それどころか海上自身もそれを無視する合理的な説明が欲しい。海上がすっかり発狂しており、その発言に信憑性がないという主張はわかります。であるならば、登場人物の誰かにその旨を発言させる必要があると思うのです。なぜ海上の発言を重要視しないのか、推理として除外するのか、彼らが作中で探偵を名乗っている以上はそれをしなくてはならないと私は考えるのですがいかがでしょう。

また、ラスト直前で无多&入瀬と古加持が4つの駒が並んだチェス盤の前で話すシーンがあり、兵卒から女王になった駒が入瀬だと指摘するシーンがあります。その指摘をした上で尚、古加持は无多&入瀬が犯人であると疑い怪我を負わせます。ここでも強い違和感が。疑心暗鬼になるのはわかります。でも、目の前のふたりよりも先に疑う人物がいるでしょう。チェス盤を仲良く移動していたふたつの駒が无多&入瀬だと思っているならば、自分が犯人ではないと知っているならば、もうひとり姿の見えない(死体も発見されていない)アリスが黒の駒=犯人である可能性を一言も指摘しないのはおかしい。

登場人物たちが徹底的にアリスを無視しているようにしか見えない。親友であるはずのルディがアリスの無事を一度も願わないのも変です。きっと彼らも考えていなかったわけではないと思うのです。その思考が作者によって意図的に削除されただけで。でも、それをしたことによって彼らが無能な探偵に見える。それがとても残念です。

残念ながらこの叙述トリックは強引すぎて、私は引き込まれませんでした。その反面、密室の作成方法や斧の振りおろしなど、物理の北山らしいトリックのためのトリックにはワクワクしてしました。

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