2017/06/22

『ノッキンオン・ロックドドア』 青崎有吾

不可能専門探偵と不可解専門探偵がタッグを組んだ探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」が舞台の連作短編集。かなり変わった事務所名は、インターホンを設置せずノックの音でどんな人物(依頼人)がやってきたのかを推理することから名づけられました。運送業のおじさん可哀想。

作品はどれもさっくり読めますが、トリックに趣向が凝らしてあってなかなかにおもしろいです。一見して不可解事件かと思いきや、調べが進むにつれ不可能事件に様変わりするなど見事。個人的ベストはズッコケたくなる「ダイヤルWを廻せ!」でしょうか。推理ゲームから始まる「十円玉が少なすぎる」も好き。

倒理の首元に潜む過去の事件と因縁が気になりますが、それは年内に発売が決定している第2弾に期待ですね。

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2017/05/27

『夕暮れ密室』 村崎友

横溝正史ミステリ大賞落選作だが、綾辻行人と北村薫のプッシュで単行本化した本作。本ミス2016第14位。

タイトル通り密室ものです。密室トリックそのものは悪くなかったです。○○○な密室ってやつですね。それよりも、犯行時の犯人の行動原理(思考過程)がさっぱり理解できない。(ここからネタバレします)そもそもなぜシャワールームに死体を運んだのか。いや、一応説明はあるのですが星川のように川に突き落とすのではダメだったのでしょうか。ついでに言えば犯行は犯人の家で行われたわけですが、高校生の女の子が夜に出歩くとして行く先を家族に告げていない可能性はいかほどか。このあたり密室を作るためだけに犯人が行動しているように思えてならないですね。しかもその密室は○○の産物だし。

青春パートもあまり共感できなかったです。被害者がなぜ崇拝に近いレベルで男子に好かれているのか、冒頭の彼女の生存パートだけでは理解できませんでした。そういえば、陸上部女子の告白がなにかの伏線かと思っていたのですが、そんなことはありませんでしたね。

7章久保田くんのバカミス推理は「奇跡が起こった」だけで具体的(物理的)にどんなことがシャワールームで起こったのかを一切説明しようとしないところが清々しくて好きです(笑)キャラクタたちといっしょにずっこけました。

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2017/05/22

『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』 雫井脩介

誘拐をテーマにした『犯人に告ぐ』シリーズ第2弾。

誘拐を外国のようにビジネスとして行い、「(今年を)日本における誘拐ビジネス元年」にしようと考える犯人グループ。緻密に計算され、用心されたその計画は成功するかに思えたのですが…。犯人側に感情移入するように書かれているので、正直なところ誘拐の成功が見たかったような気もします。最後も切ないです。RIPされちゃいましたから。

振り込め詐欺、誘拐、警察の捜査、身代金の受け渡しと物語は大きく動いているのに、「淡々と」という形容詞がぴったりくる作品です。実は『犯人に告ぐ』の感想でも似たようなことを書いているのでそれが作風なのかもしれませんが、もっとスピード感が欲しい。丁寧な描写は嬉しいのですが、とにかく先が読みたいときもある。

あとは人間関係やキャラクタの個性などが前作を読んでいる前提なのが少しストレスになりました。前作から期間も空いていますし、詳細に覚えていられる人ばかりではないので。前作ではああだったこうだったと言われてもそんなことあったっけ?と思うばかりでした。

それにしても淡野くんは何者。続きがあります!と宣言されたかのようなラスト。第3弾が待たれます。

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2017/05/14

『札幌アンダーソング』 小路幸也

タイトルの通り、札幌を舞台にしたミステリ? と?を付けたのはいろいろと消化不良だからです。

(ここからネタバレします)結局のところ人に言えない性癖を持った者たちが集まる秘密クラブで事故死?があったため見せしめのために死体遺棄が行われた野菜事件と、春の挑発に乗る形で行われた3件の自殺教唆だと思うのですが、首謀者を罪に問えない(公にしても意味がない)とはなんという消化不良。半年間の営業停止=面目をつぶしたわけですが、その程度で良しとしたくない。シリーズが続いているようですが、組織との対決は続くのでしょうか。できれば壊滅にまで追い込んですっきりさせて欲しいです。特殊な性癖を持つ苦しみと、犯罪に手を染めることは別次元の話です。

春という天才の存在、その特殊能力についてはとても面白かったです。こうすると歴史とミステリがうまく絡むのかと感心しました。リアルな声なんですもの。ただ、私はキュウのようにさらりと春の存在に馴染むことはできないかな。どうにも怖いところがあります。家族の関係性とかね。犠牲という言葉が頭に浮かんできます。当人たちはそう思っていなくとも。

個人的には札幌駅の構造のおかしいところが気になります。あれは本当の話なのでしょうか。

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2017/05/09

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』 辻村七子

読書メーターでお薦めされていたので読んでみました。宝石にまつわる日常系ミステリと紹介するのが正しいのだろうけれどミステリというよりお悩み解決系です。

さらっと読めるのはとてもポイントが高いです。個人的には宝石の蘊蓄がとても参考になりました。宝飾品にあまり興味のない私でも宝石店に行って石を眺めたくなります。1カラットは0.2グラム、鑑定書はダイヤモンドのみ、その他の石は鑑別書とかね。

リチャードの素性にもミステリがありそうですが、それはおいおいでしょうか。正義の性格は嫌いではないです。リチャードの毒舌?が程良く緩和してくれていると思います。

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