2016/08/21

『慟哭』 貫井徳郎

十余年ぶりの再読。名作は色あせることなく、貫井作品個人的ベストの地位は揺るぎません。

読んだ本の内容を覚えていられない性質にも関わらず何冊か「衝撃が大きすぎて内容を忘れたいのに忘れられない本」があり、そのうちの1冊がこの『慟哭』です。大好きな作品。初読はただただ驚き、再読は仕掛けの巧さに舌を巻く。これが正しい楽しみ方です。

是非ともネタバレなしに読んでもらいたいのでレビューにも多くは書けません。『慟哭』というタイトルの相応しさと読んだ後の何とも言えない気持ち(名トリックに喝采を挙げたいが後味の悪すぎるラスト一行のMIX)を一人でも多くの人に味わってもらいたい名作です。

でも、一カ所だけ突っ込むことを許してもらえるなら(ネタバレします)不審者がいる、怖い、自宅を警備してって大騒ぎするくらいならお茶会とかしてないで歩いて2分のバス停まで子ども迎えに行けばいいのに…と思いました。

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2016/08/16

『ミネルヴァの報復』 深木章子

初・深木章子。リーガルミステリが読みたいと思い検索したら元弁護士という経歴の深木作品が引っかかってきました。本作は弁護士が探偵役を務めますが、舞台は法廷ではないので探していたリーガルミステリではありませんが、それはそれこれはこれで楽しく読めました。

描写があからさまなので誰が犯人なのかは明白かと思います。(ここからネタバレします)オチをどう落とすか、もっとはっきり言えば佐伯を主犯にするかが鍵ですが、横手の選択は納得はできませんが理解はできます。これまでいっしょにやってきた仲間を守りたい気持ちはわかる。でも、弁護士としてどうなの。

元弁護士らしい切り口の本人確認の盲点については新鮮でした。代理人を立てれば調停に本人が出る必要はない=原告と被告が(それぞれ別人の名を語った)同一人物だなんて展開なかなかないですよね。うまいです。

安楽椅子探偵を務めた睦木がシリーズキャラクタのようなので、そちらの作品も読みたい。著作に法廷が舞台のリーガルミステリはあるのでしょうか。本当に好きなんです、法廷もの。

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2016/08/12

『ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ』 今野敏

鋭意再読中のSTシリーズ第3弾。

黒いモスクワ…黒…黒…黒崎ということで黒崎活躍回ですが、個人的には翠>黒崎>>>>>>>青山>赤城>>>山吹といった印象です。キャップと赤城を心配して個人的にロシアまで飛んできてくれた優しい山吹さんにもっと出番を!

事件の真相については明らかに怪しい描写が複数あるので簡単に察することができます。粉塵爆発についても(本作が発表された2000年はわかりませんが)広く知れ渡った手法なので小麦粉の記述が出てきた時点で気付けたことでしょう。

個人的に外せないポイントは機内で翠に優しくする菊川なのですが、なんと言うかもっと菊川×翠ください。

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2016/08/08

『火の粉』 雫井脩介

ドラマは観ていませんが、そのあらすじを読んでおもしろそうだと思い手に取ってみた本作。どうやらドラマと原作では結末が異なる模様。個人的には断然原作です。

退官した元裁判官の隣家に越してきた男はかつて、一家惨殺事件の犯人として裁判にかけられ無罪(冤罪)を言い渡した男だった。あまりに親切すぎる男の行動、少しずつおかしくなっていく家族。果たして本当に男は無罪だったのか?というお話。

善人か悪人か、どちらにも思え揺れる描写の中に流れ込むうすら寒さ。とてもおもしろく不気味でした。池本夫妻が乗り込んでくるも返り討ちにされ、一気に善人ムードに傾いてからの展開は実にスピーディでしたね。一気読み。

自分に火の粉が降りかかるまでは我関せずの勲、口だけおぼっちゃまの敏郎のふたりにイライラされられました。このふたりが事態を重くしたと言っても過言ではない。結果的にこのふたりが報いを受けることになるわけですが。まさに因果応報。

ドラマでは武内をユースケ・サンタマリアが演じたようですが、無機質で不気味な笑いとか上手そうですよね。写真だけ見てぞっとしました。ドラマは観てないですけどハマリ役な気がします。正反対らしいラスト、機会があったら観てみたいです。

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2016/08/04

『シャーロック・ノートII 試験と古典と探偵殺し』 円居挽

『シャーロック・ノート 学園裁判と密室の謎』に続くシリーズ第2弾。前作より学園モノらしく、裁判パートも増し増しということでとても楽しく読みました。

このシリーズは九哭将(ナインテイラーズ)や十格官(デカロゴス)と言った中二病設定がたまらないわけですが、今回は九哭将の出番が多くて嬉しい。しかも大人(九哭将)と子ども(学生たち)の対比がうまく出来ていて、学園モノ=成長モノの図式も見事です。

さらに意外な人物が黒幕というミステリのお約束まで守ってくれていて言うことなしです。連作短編集の強みを存分に活かした作りですね。

と、ここまで手離しで褒めたので当然続きが読みたい!わけですが、第3弾はいつでしょうか。完全に続きものであちこち伏線だらけですが…とりあえず、今回出番の多かった学生5人(成、からん、暦、残、浅葱)で組んだチームが探偵登録第一号になるかもしれないなどと予想しておきましょうかね。

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