2017/01/18

『密売人』 佐々木譲

道警シリーズ第5弾。

バラバラに思われた函館、釧路、小樽の事件のミッシングリンクからある男の密売を暴きだす1冊。グラックバードで行われる佐伯班の捜査会議がとても嬉しい。

(ここからネタバレします)米本親子を無事保護できるかよりも警察内部の裏切り者を見つけ出す展開にワクワクしました。今回のMVPは退職刑事たちですよね。津久井の言う「ええ。あのひとは、警官です」に相応しい男たちでした。そしてシガー・バーでのやりとり。三者三様の落としのテクニックと佐伯の意趣返し。とても良いシーンでした。

道警の腫れもの扱いだった4人がぞれぞれ新しいステージに進みそうなラスト。でも、彼らの根っこは佐伯班にあると確信しております。

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2017/01/14

『巡査の休日』 佐々木譲

道警シリーズ第4弾。

道警が特に忙しくなるよさこいの時期に重なるように発生したストーカー、白骨死体発見、連続ひったくり事件。それぞれの刑事が地道に、真面目に事件を追いかけることで最後にはしっかり片付く達成感のある読了。

やはり佐伯班の「チーム」としての活躍が読みたい気持ちがあるのだけれど、たまにはこうしてそれぞれが刑事としての力を底上げするかのような作品があっても良いのかも。ラスト、休日を謳歌する刑事…巡査たちの清々しいことったら。

しばらく読んでいないうちに道警シリーズも第7弾まで発売されているので追いかけたいと思います。小島のウェディングリストの最後の方に回された佐伯との関係も気になる。

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2017/01/08

『七色の毒 刑事犬養隼人』 中山七里


『切り裂きジャックの告白』に続く刑事犬養隼人シリーズ第2弾。収録されている作品(毒)の数は7。

中山作品らしいどんでん返しは短編でも健在。7つもあれば飽きる人もいそうですが、私はこういう展開大好きなので大満足です。

個人的ベストは「黄色いリボン」でしょうか。犬養が犯人ではない人物に真相を語るという意味で異色であることと、単純に自分の読みが当たったので(笑)

「黒いハト」も好きですね。その悪意に擁護する隙がなく、ただただ残酷なところが良いです。

「白い原稿」はそんなこと書いちゃっていいのか…と思いましたが、某出版社と付き合う気がないならいいのか。収録されている作品の中では一番の問題作だと思います。

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2017/01/05

『ふたつめの月』 近藤史恵


『賢者はベンチで思想する』に続く久里子シリーズ第2弾。

作者が苦労したであろう、ある人物についての記述ににやり。前作を読んでいない人は違和感なく読み進められるのだろうか。気になる。

本作は久里子の成長(日常)物語に謎をトッピングしてみたという印象。久里子の前に現れる人物たちのなんて身勝手なこと。「たったひとつの後悔」の動機とか本当に酷いですからね。そんなことで他人の人生狂わせるなんて。

やはり赤坂老人が絡むお話が好き。ラストで家族からも久里子からも行方知れずとなってしまった赤坂老人ですが、もしシリーズが続くなら冒頭でふらっと現れて久里子に就職祝いをくれるのでしょう。期待してます。

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2017/01/03

『図書館の殺人』 青崎有吾

平成のエラリイ・クイーンによる館シリーズ第4弾。2017年本ミス2位。

シリーズ既刊に比べとても読みやすくなっていた印象。もちろんロジックは健在ですが。今回探偵がとことんこだわったのは血痕。まるで科捜研…というのは冗談にしても血痕の付き方、擦れ方から事件発生当時の犯人の動き、そして(文字通り)犯人像を作り上げていく様は見事です。

(ここからネタバレします)今回は意外な犯人を狙ったのかなと思うのですが、この人を犯人にするなら個人的に動機は納得できないですね。だって○○ですよ。もちろんすべての○○に無償の愛があるだなんて言いません。でも、少なくともこの犯人がそういうタイプの○○であると作中から読み取ることはできません。ロジックから導き出した犯人像(容姿)にはぴったりで、確かに○○が犯人だったのかもしれませんが、犯人の(心の)動きがおかしいと個人的に思います。

まあ、動機なんてミステリにおいて大した意味なんてないんですけどね。

作中では裏染くんがダイイングメッセージを推理の中心に置くことが如何に意味のないことであるかを説いておりましたね。好きなシーンです。あとは図書館のカウンターで行われた心理戦と柚乃から弱点を着かれて卒倒するシーンも好きです。テストも。

あとは裏染くんの過去か…実はあまり興味がないのですが、味付け程度であまり重たいものにならないと良いなあと思っています。

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